白虎加人参湯
のどの渇き、ほてりにつかわれる白虎加人参湯です。ほてりということは皮膚に赤みがある状態なので白虎加人参湯は皮膚科でつかわれることもあります。
白虎加人参湯は古典の『傷寒論』に記載のある漢方薬です。白虎湯に人参を加えたものです。
『傷寒論』での白虎加人参湯の使われ方↓
「服桂枝湯、大汗出後、大煩渇不解、脈洪大者、白虎加人参湯主之」
桂枝湯という漢方薬で発汗させ過ぎてしまい、大煩・大渇・脈洪大、いわゆる熱中症のような症状があるときに白虎加人参湯がつかわれています。
白虎湯は陽明病期の漢方薬で、とくに陽明経証のときに白虎湯となっています。陽明表証であれば葛根湯、陽明腑実証であれば大承気湯のような承気湯類の適応となります。
効能又は効果は?
ツムラの添付文書には「のどの渇きとほてりのあるもの」と記載があります。
何が入っているの?
白虎加人参湯は石膏・知母・粳米・甘草・人参の5薬から構成されています。
石膏:清熱降火・除煩止渇
石膏には陽明肌肉の熱を去る、清熱作用があります。血分にまでは作用せず、皮膚の表面の熱を清熱します。
知母:清熱瀉火
知母は苦寒の生薬にて陰気を補い、石膏とともに清熱止渇に働きます。
粳米:清和甘緩
うるち米のことです。粳米は清和甘緩で、粘り気があるため胃中に薬液を保持し、胃から脾に、脾から肺へ、薬液を全身へ散布します。また下腹部へ薬液が素早く流れ、下焦で寒涼の害が及ばないようにもなります。誤ってもち米を使ってしまうと、もち米は熱性で粘性も強いため、薬力を強く固閉し、留めて散じないため、本来の効果を発揮できなくなります。
人参・甘草:生津止渇
人参は甘味の生薬であり、気を補うだけでなく、生津の作用もあります。白虎加人参湯は脱水状態であるため、人参・甘草の甘味にて水分を補います。ただ人参の薬性は温であり、熱中症の状態に向いていないという考えもあります。張錫純著の『衷中参西録』には『傷寒論』の当時は生の党参を使っていたのではないか、と記載があります。
効果のまとめ
石膏にて強く清熱し、知母でその清熱・止渇作用を強化します。人参・甘草の甘味にて生津します。服用した薬性を上焦で保持するために粳米の粘性を応用します。
処方箋でもらう薬とドラッグストアで売っている薬はどう違うの?
処方箋でもらうときツムラが多いので、ツムラにはどれくらい生薬が入っているか調べてみました。
ツムラ34 7.5g(3包)中には、、、
日局セッコウ 15.0g
日局コウベイ 8.0g
日局チモ 5.0g
日局カンゾウ 2.0g
日局ニンジン 1.5g
医療用のメーカーごとの違いは?
大手3社(ツムラ、クラシエ、コタロー)の生薬量を比較してみました。コタローの商品がほかの2メーカーに比べ、ニンジンンの量が倍入っています。ほかの生薬量は同じです。
ドラッグストアで購入できるものとの違いは?
ドラッグストアで売られている市販のものにはどれくらい生薬が入っているか調べてみました。
サンワ
サンワには市販の扱いがありました。
のどの渇きとほてりのあるものには白虎加人参湯