四逆散
不安、不眠、神経症で使用される四逆散です。気滞、気鬱という気の流れが滞っているときに頻用されます。四逆散は加味すると柴胡疎肝湯に応用されるように理気剤の基本骨格となっています。気の流れが停滞し、不安、不眠の神経症になります。枳実が入っており、精神症状からくる胃痛、胃炎にもつかわれます。胃に対する効果はラットによる研究で確認されています。
“抗潰瘍作用
Compound 48/80惹起胃粘膜障害ラットに経口投与したところ、胃粘膜組織における過酸化脂質量の増加、ミエロペルオキシダーゼ活性の上昇並びにSe含有グルタチオンペルオキシダーゼ活性の低下がそれぞれ抑制された“
もともとは『傷寒論』少陰病期に記載のある漢方薬です。
『傷寒論』での使い方はこちら↓
「少陰病、四逆、其人或咳、或悸、或小便不利、或腹中痛、或泄利下重者、四逆散主之」
四逆“湯”ではなく、四逆“散”の条文です。ここでは少陰は「三陰の枢(かなめ)」といわれ、気などのあらゆる流れを調整している部分です。その枢としての機能が失調した状態を表しています。気が流れることができなくなるため、全身にエネルギーが巡らず、手足が冷え、咳や動悸、腹痛などの症状がでます。ここでは陽気不足による冷えではなく、気が抑圧され、巡らないことによる冷えであるため、流れを通調する四逆散を用います。
四逆散は甘草(炙)・枳実・柴胡・芍薬の4薬から構成されています。柴胡・枳実の理気薬にて疎肝し、芍薬・甘草にて陰陽を補い、4薬にて陰と陽、気と血を調しています。四逆散は気鬱の基本構成となっており、これをもとに派生していきます。
効能又は効果は?
ツムラの添付文書には「比較的体力のあるもので、大柴胡湯証と小柴胡湯証との中間証を表わすものの次の諸症:胆嚢炎、胆石症、胃炎、胃酸過多、胃潰瘍、鼻カタル、気管支炎、神経質、ヒステリー」と記載があります。
何が入っているの?
ツムラでは柴胡・枳実・芍薬・甘草の4薬から構成されています。
柴胡:疏肝解鬱
柴胡にて鬱滞している気を条達します。日本において疎肝といえば柴胡が代表生薬となっています。
枳実:破気
枳実はダイダイの未熟の果実であり、理気作用が強力です。苦寒にて下ベクトルに働き、気を通し、流れをよくします。気を下に強力に通すことで食滞・便通をも下し、枳実消痞丸や大承気湯にもつかわれています。
芍薬:平肝・柔肝止痛
芍薬は平肝する作用があり、肝気によって拘攣している状態を平らにします。そのため芍薬甘草湯はこむら返り・腹痛に効果があります。
効果のまとめ
四逆散は甘草(炙)・枳実・柴胡・芍薬の4薬から構成されています。柴胡・枳実の理気薬にて疎肝し、芍薬・甘草にて陰陽を補い、4薬にて陰と陽、気と血を調しています。四逆散は気鬱の基本構成となっており、これをもとに派生していきます。
ほかの漢方薬との違いは?
四逆散は不眠症、うつ、イライラ、不安感につかわれることが多く、そのときに使われるほかの漢方薬についても解説します。
四逆散
四逆散は枳実という強力な破気薬が入っていることからも気の鬱滞が強いときには四逆散が向いています。
柴胡加竜骨牡蛎湯
柴胡加竜骨牡蛎湯は“ストレスや不安で眠れない方”に使用されます。柴胡は疎肝に働き、竜骨・牡蛎にて気を下に降ろします。柴胡が入っているため、“ストレス”と書いてありますが、入っている生薬の中で気に働くといえるのは柴胡のみで、竜骨・牡蛎の重たい薬にて気を鎮めます。
加味逍遙散
柴胡・薄荷で気分に対応し、当帰・芍薬・山梔子・牡丹皮にて血分に対応し、白朮・茯苓にて水飲にも対応しているため、気・水・血に対する幅広い効果が期待できます。加味逍遙散は幅広くカバーしているため使いやすい漢方薬といえ、悩んだときはこちらがオススメです更年期のときに一番使用される漢方薬です。
半夏厚朴湯
半夏厚朴湯もよく使用される漢方薬の1つです。不安神経症などにつかわれます。半夏・厚朴・蘇葉・茯苓・生姜から構成されており、蘇葉・厚朴にて行気開鬱、半夏にて降逆します。半夏厚朴湯には枳実のような破気薬ははいっておらず、気や痰の鬱滞をほぐすことで不安神経症を緩和します。不安神経症の方に半夏厚朴湯です。
処方箋でもらう薬とドラッグストアで売っている薬はどう違うの?
処方箋でもらうときツムラが多いので、ツムラにはどれくらい生薬が入っているか調べてみました。
ツムラ35 7.5g(3包)中には、、、
日局サイコ 5.0g
日局シャクヤク 4.0g
日局キジツ 2.0g
日局カンゾウ 1.5g
医療用のメーカーごとの違いは?
四逆散はツムラのみしか扱いがありませんでした。
ドラッグストアで購入できるものとの違いは?
ドラッグストアで売られている市販のものにはどれくらい生薬が入っているか調べてみました。
救心製薬四逆散
四逆散は市販で扱っているところは少なかったですが、救心製薬から販売されていました。
不安や不眠からくる神経症、胃痛に四逆散