女神散
肝血不足から肝の疏泄失調になり、鬱熱が心包にまで影響を与え、熱が上昇することでのぼせ、めまいとなっているときに女神散が使用されます。
効能又は効果は?
ツムラの添付文書には「のぼせとめまいのあるものの次の諸症:産前産後の神経症、月経不順、血の道症」と記載があります。
何が入っているの?
当帰・川芎・黄連・黄芩・大黄・桂枝・木香・香附子・檳榔子・丁子・人参・白朮・甘草の13薬から構成されています。
当帰・川芎:養血
当帰・川芎にて肝血を養い、活血します。養血によって肝の疏泄失調を防ぎます。
黄連・黄芩・大黄:清心瀉火
この3薬は三黄瀉心湯の組み合わせであり、鬱熱によって生じるイライラを清熱します。
桂枝・木香・香附子・檳榔子:理気
理気薬にて気をめぐらせ、肝気を通調します。
丁子:降逆
特有の芳香があり、逆気を降ろします。
人参・白朮・甘草:補気
気を補います。
効果のまとめ
女神散は肝血不足から肝気がめぐらず、鬱熱を生じ、イライラ、のぼせ、めまいの症状が生じます。当帰・川芎にて血を補い、黄連・黄芩・大黄にて清心瀉火、桂枝・木香・香附子・檳榔子にて肝気を疏泄し、丁子にて降逆、人参・白朮・甘草にて補気します。
ほかの漢方薬との違いは?
更年期障害で用いられる代表的な漢方薬に加味逍遙散があげられます。それらの違いについて説明します。
加味逍遙散
柴胡・薄荷で気分に対応し、当帰・芍薬・山梔子・牡丹皮にて血分に対応し、白朮・茯苓にて水飲にも対応しているため、気・水・血に対する幅広い効果が期待できます。更年期のときの代表方剤は加味逍遙散です。
女神散
女神散は黄連・黄芩・大黄の苦味の清熱薬が入っており、加味逍遙散よりも気の鬱滞が強く、イライラ、のぼせの症状が強いときに適しています。
処方箋でもらう薬とドラッグストアで売っている薬はどう違うの?
処方箋でもらうときツムラが多いので、ツムラにはどれくらい生薬が入っているか調べてみました。
ツムラ67 7.5g(3包)中には、、、
日局コウブシ 3.0g
日局センキュウ 3.0g
日局ソウジュツ 3.0g
日局トウキ 3.0g
日局オウゴン 2.0g
日局ケイヒ 2.0g
日局ニンジン 2.0g
日局ビンロウジ 2.0g
日局オウレン 1.0g
日局カンゾウ 1.0g
日局チョウジ 1.0g
日局モッコウ 1.0g
医療用のメーカーごとの違いは?
大手3社(ツムラ、クラシエ、コタロー)の生薬量を比較してみましたが、扱いがあったのはツムラのみでした。
ドラッグストアで購入できるものとの違いは?
ドラッグストアで売られている市販のものにはどれくらい生薬が入っているか調べてみました。
市販で女神散の販売はありませんでした。気を巡らせ、熱を取るという点で、女神散に比較的近い漢方薬は加味逍遙散か、命の母Aが考えられます。
生理不順、のぼせ、めまいの方に女神散