清肺湯
清肺湯とは?
痰の多くでる咳に使用される清肺湯です。
麦門冬湯よりも清熱作用があり、痰をほぐす作用が強いものが清肺湯です。
乾きによる痰、咳であれば麦門冬湯が適しています。
渇いた痰は麦門冬湯が有名ですが、清肺湯の方が清熱が強く、潤す力も強いです。
清肺湯の効能効果は?
ツムラの添付文書には「痰の多く出る咳」と記載があります。
清肺湯に入っている生薬は?
黄芩・山梔子・陳皮・貝母・桑白皮・竹茹・天門冬・麦門冬・杏仁・桔梗・五味子・当帰・茯苓・生姜・大棗・甘草の16種類の生薬から構成されています。
黄芩・山梔子:清熱
黄芩は肺経に入り、山梔子は三焦の熱を清熱します。
陳皮・貝母・桑白皮・竹茹:化痰
それぞれ痰を取る生薬ですが、性質が生薬ごとに異なります。陳皮は化痰し、中焦の痰をとります。貝母は熱化した固まった痰をほぐします。桑白皮は肺に入り、平喘作用とともに痰を取ります。竹茹は清熱し、滌痰し、痰を洗います。
天門冬・麦門冬:養陰
天門冬・麦門冬はどちらも滋陰する作用があり、肺の乾きを防ぎます。天門冬は苦・大寒にて清火の作用が強く、腎にも作用します。麦門冬は甘・寒で肺の滋陰に優れています。
杏仁・桔梗:宣肺
杏仁・桔梗も宣肺し、肺気を調えます。ただし方向性が異なり、杏仁は下へ、桔梗は上向きベクトルに働きます。杏仁・桔梗にて一昇一降し、気を巡らせます。
五味子:収斂
収斂し、止咳作用があります。
当帰・茯苓・生姜・大棗・甘草:補気補血
気血を補います。
清肺湯の効果のまとめ
清肺湯は清熱の作用と痰を取る作用が強い漢方薬です。
黄芩・山梔子にて清熱、陳皮・貝母・桑白皮・竹茹にて清熱化痰、天門冬・麦門冬にて養陰、杏仁・桔梗にて肺気を巡らせ、五味子にて収斂平喘、当帰・茯苓・生姜・大棗・甘草にて気血を補います。
辛夷清肺湯と清肺湯の違いは?
辛夷清肺湯も清肺湯も、入っている生薬は異なりますが、どちらも熱を冷ます漢方薬の構成です。
清肺湯の方が桑白皮、貝母、竹茹、陳皮の痰に対応した生薬が多く入っています。
辛夷清肺湯は辛夷が入ることで鼻を通す働きが強いです。
清肺湯が去痰に優れ、辛夷清肺湯は鼻を通すことに優れています。
清肺湯の医療用のメーカーごとの違いは?
大手3社(ツムラ、クラシエ、コタロー)の生薬量を調べてみましたが、扱いがあるのはツムラのみでした。
清肺湯の市販薬のおすすめは?
清肺湯の市販薬のおすすめはダスモック(小林製薬)、市販のツムラ清肺湯がおすすめです。
ダスモックもツムラもどちらも同じ生薬量がつかわれています。
市販の清肺湯以外にも煎じ薬があります。
生薬を30分煎じる必要がありますが、その分漢方薬の本来の味を感じることができます。