麻黄附子細辛湯
麻黄附子細辛湯とは?
麻黄附子細辛湯は感冒でよく使用される漢方薬の1つです。
医療用においてはコタローからカプセル剤が出ているため、そちらを見ることが多い印象です。
麻黄附子細辛湯の出典は?
麻黄附子細辛湯は『傷寒論』少陰病期につかわれている漢方薬です。
少陰病というのは太陽病の裏にあたる病期です。
太陽病は寒水を、少陰病は熱をつかさどっています。
感冒をひいたときに少陰腎から火の熱を表へもっていくだけの力あれば寒水を温めることができ、寒気をそこまで感じません。
しかし少陰腎の火の熱が衰え、表へもっていけなければ寒水が勝り、寒気を感じます。
表で邪と戦うことができなければ太陽表から少陰腎の裏側に入り、少陰病となります。
少陰病とは?
『傷寒論』では感冒のような病気の進行について解説してあります。
太陽病→陽明病→少陰病→太陰病→少陰病→厥陰病
と、進行していきます。
太陰病が脾の陽虚であるのに対し、少陰病は腎の陽虚証です。
腎は生命エネルギーの根幹となるので、それが不足しているということはかなり悪い状態となります。
「少陰之為病、脈微細、但欲寝也」とあるように脈も弱くなり、ただただ寝るようになります。それだけ虚弱した状態といえます。
「五六日自利而渇者、属少陰也」「小便白者、以下焦虚有寒、不能制水、故令色白也」
腎陽虚になり、気が巡らなくなるため、脾の機能失調にて下痢が生じます。
腎の陽気にて水が温められ、温められた水が全身を巡っていくため、腎の陽気が足りなければ全身に行き届かず、渇が生じます。
腎陽虚と冷えている状態であるため、小便は白くなるとあります。
もし熱による影響があれば小便は黄色くなります。
腎の陽気不足が全身へ影響があらわれます。
心と腎は交通しており、腎気が上昇しないため心気も衰え、ただ寝ることを欲するようになります。
「少陰病始得之、反発熱、脈沈者、麻黄附子細辛湯主之」
太陽病から少陰病へ伝変したときです。
太陽と少陰は表裏の関係になっているため、太陽からほかの病期を超え少陰に入ることがあります。
少陰病であるため脈は沈、太陽から直接少陰へ伝じたために太陽病が残っており発熱もあります。
少陰病と太陽病のどちらにも対応するためには麻黄附子細辛湯にて対応します。
少陰病というのは簡単にいえば、カゼが深くまで入った状態です。葛根湯は身体の表の方のカゼですが、麻黄附子細辛湯は身体の奥の方に入ったカゼです。それを反映するように脈は沈みます。
麻黄附子細辛湯に入っている生薬は?
麻黄附子細辛湯はその文字の通り麻黄・附子・細辛の3薬から構成されています。
麻黄:散寒
麻黄附子細辛湯では完全に裏に入っておらず、表から裏に入る段階であるため、表の薬の麻黄をつかって、邪を追い出します。
附子:散寒
附子は強く温める生薬であり、温腎します。裏に入りかけている状態のため、腎陽を鼓舞し、邪を表へ持ち上げます。
細辛:散寒
細辛はピリピリとした辛味をもった生薬であり、少陰腎から表へ辛味にて気を通します。
少陰病のかぜ、つまり虚しているという考えでご年配の方のかぜによくつかわれます。
しかし虚の捉え方にも様々あり、胃腸は弱っているときは人参の入った参蘇飲の方が適しています。
身体の奥のカゼのため、附子で強く温める必要があります。漢方ではカゼといっても、深さを考える必要があります。
麻黄附子細辛湯の効能効果は?
ツムラの添付文書には「悪寒、微熱、全身倦怠、低血圧で頭痛、めまいあり、四肢に疼痛冷感あるものの次の諸症 感冒、気管支炎」と記載があります。
麻黄附子細辛湯の医療用のメーカーごとの違いは?
大手3社(ツムラ、クラシエ、コタロー)の生薬量を比較してみました。扱いがあるのはツムラとコタローで、生薬量に違いはありませんでした。
麻黄附子細辛湯の市販薬のおすすめは?
麻黄附子細辛湯の市販薬のおすすめは一番多くの生薬がつかわれているサンワロンM顆粒です。
麻黄附子細辛湯サンワロンM顆粒
1日量では麻黄6.0g、細辛4.5g、附子1.5g入っており、医療用のツムラよりも生薬量が多く入っています。
生薬量で選ぶならサンワロンMです。
麻黄附子細辛湯「コタロー」
次に使われている生薬量が多く、おすすめなのが「コタロー」の麻黄附子細辛湯です。
コタローの商品は扱いの数が少なく、楽天、アマゾンでは見つけることができませんでした。
麻黄附子細辛湯「ツムラ」
次におすすめなのが、市販薬のツムラ麻黄附子細辛湯です。
ドラッグストアでもよくみかる商品です。
ツムラは医療用もつくっているので、馴染みが深いですね。