酸棗仁湯
酸棗仁湯とは?
不眠につかわれる酸棗仁湯です。
『金匱要略』の血痺虚労病篇に記載があります。
虚労病に記載があることからわかるように、酸棗仁湯の適応には「心身がつかれ弱って眠れないもの」とあります。
不眠の原因は肝血不足です。
肝血が不足し、虚火となり、イライラし、不眠となっています。
酸棗仁湯にて肝血を養い、不眠につかいます。以下、『金匱要略』の条文です。
虚労虚煩不得眠、酸棗仁湯主之。
『金匱要略』血痺虚労病
虚煩とは実邪があるのではなく、虚熱が胸にあるため落ち着かない症状を呈します。
『傷寒論』では梔子豉湯にて虚煩に対応していました。
しかしここでは虚労病であり、肝血不足のために熱を収容することができずに不眠となっています。
肝血不足による陰虚内熱による不眠には酸棗仁湯をつかいます。
酸棗仁湯は肝血の不足からくる不眠につかいます。不眠の漢方薬には柴胡加竜骨牡蛎湯もありますが、こちらはイライラが強いタイプにつかいます。
酸棗仁湯の効能効果は?
ツムラの添付文書には「心身がつかれ弱って眠れないもの」と記載があります。
何が入っているの?
酸棗仁湯は酸棗仁・川芎・知母・茯苓・甘草の5薬から構成されています。
酸棗仁:補肝寧神
酸棗仁は肝血を養うことで、虚煩不眠につかわれます。
川芎:活血行気
血中の気薬といわれ、肝気を巡らせます。
知母:清熱除煩
知母の苦寒にて清熱し、煩渇を除きます。
茯苓:寧神安神
茯苓にて気持ちを落ち着けてくれます。
酸棗仁湯の主薬は酸棗仁で、大量の酸棗仁が入っています。大量の酸棗仁が肝血を養ってくれます。
ほかの漢方薬との違いは?
不眠につかわれる漢方薬には酸棗仁湯、柴胡加竜骨牡蛎湯、加味帰脾湯があります。
酸棗仁湯
酸棗仁湯は『金匱要略』虚労病篇でつかわれるように「心身がつかれ弱って眠れないもの」につかいます。酸棗仁にて肝血を養い、眠れないときにつかいます。
柴胡加竜骨牡蛎湯
柴胡加竜骨牡蛎湯は不眠でもイライラが強いときにつかいます。柴胡にて疎肝し、竜骨・牡蛎にて気を鎮めることで不眠、不安に適しています。
加味帰脾湯
加味帰脾湯は酸棗仁湯よりもさらに虚しているときにつかいます。加帰脾湯にも酸棗仁が入り、肝血を養い、それだけでなく人参・竜眼肉も入り、補う生薬が豊富に入っています。虚弱体質で不眠の方には加味帰脾湯が向いています。
酸棗仁湯の医療用のメーカーごとの違いは?
大手3社(ツムラ、クラシエ、コタロー)の生薬量を比較してみましたが、扱いがあるのはツムラのみでした。
ツムラは販売している種類が多いことがわかりますね。
酸棗仁湯の市販薬のおすすめは?
イスクラ
酸棗仁湯の市販薬のなかで一番酸棗仁の量が多いのは「イスクラ」酸棗仁湯で、おすすめです。酸棗仁が24gも入っています!医療用よりも酸棗仁の量が多い!
「イスクラ」酸棗仁湯は販売しているところが少なく、手に入れることが難しそうです。
コタロー
次におすすめが「コタロー」酸棗仁湯です。こちらは酸棗仁が12gも入り、医療用のツムラよりも多くつかわれています!
「コタロー」酸棗仁湯も販売している店舗は限られているようです。
サンワ
次におすすめが「サンワ」酸棗仁湯です。
こちらは医療用の8割の8gの酸棗仁がつかわれています。
手に入りやすさではサンワが一番おすすめです。
煎じ薬
酸棗仁湯には煎じ薬もあります。
煎じ薬というのは生薬を30分ほど煮出して服用する漢方薬です。
煮出す手間がかかりますが、漢方の本来の味わいを感じることできます。