微熱・さむけ・はき気などのあるかぜにはどんな漢方薬がいいの?

柴胡桂枝湯

小柴胡湯と桂枝湯をかけあわせたものです。傷寒論では「風邪になって6,7日が経過し、発熱、少し悪寒があって、少し吐き気があるときに使用する」と書いてあります。わかりやすく言えば、長引く風邪に使用されます。

目次

効能又は効果は?

ツムラの添付文書には「発熱汗出て、悪寒し、身体痛み、頭痛、はきけのあるものの次の諸症:感冒・流感・肺炎・肺結核などの熱性疾患、胃潰瘍・十二指腸潰瘍・胆のう炎・胆石・肝機能障害・膵臓炎などの心下部緊張疼痛」と記載があります。

何が入っているの?

柴胡桂枝湯は小柴胡湯と桂枝湯を合わせたもののため、柴胡、半夏、黄芩、大棗、人参、甘草、生姜、桂皮、芍薬が入っています。

柴胡桂枝湯=小柴胡湯+桂枝湯

実際には生姜、大棗、甘草がかぶっているため、小柴胡湯に桂皮と芍薬を加えれば柴胡桂枝湯になります。

柴胡:清熱作用

かぜの中期のこじらせたときに、清熱作用として使用される。胸脇苦満という胸から脇にかけてなんとなく重苦しいときに緩和する作用イライラなどの肝の熱を冷ます作用もあり、ストレスなどある方に使用されることも多い。

半夏:吐き気を抑える

サトイモ科カラスビシャクの塊茎。大学の実験で生薬をそのまま食べたことがありますが、後を引くえぐ味と刺激感があり、二度と食べたくないと思いました。この刺激感は煎じることで消失するので安心してお飲みください。薬性は燥。乾かす作用が強いため、湿性の咳嗽に有効です。気を下す作用があり、吐き気を抑える作用もあります。

黄芩:清熱作用

シソ科コバネバナの根。炎症を抑え、解熱作用を発揮します湿熱を取り除く作用があり、湿熱による下痢にも効果があります。

人参:消化吸収の働きをよくする

ウコギ科オタネニンジンの根。日常、口にするニンジンはセリ科のニンジンで、漢方で使用されるものと異なります。補気剤といい、強力に気を補う作用があります。小柴胡湯においては胃腸の働きをよくし、吸収能力を高め、風邪で弱っている身体に体力をつけてくれます

桂皮:発汗作用

シナモンの仲間ですね。桂枝茯苓丸など、桂皮の配合された漢方薬を嗅ぐとシナモンいいの香りがします。この桂皮には発汗解表作用気を降ろす作用などがあります。発汗作用があるため、風邪ひいたときに邪を表面から追い出します。気を降ろす作用があるので桂枝茯苓丸にも使用されています。

芍薬:過剰な発汗を抑える

芍薬はきれいな花で有名なシャクヤクの根を使用しています。芍薬には筋肉や節々の痛みを抑える作用もありますが、桂枝湯では過剰な発汗を予防するために使用されています。

大棗、生姜、甘草;胃薬

これらの3つは胃薬として使用されています。

風邪の漢方薬の使いわけ

小柴胡湯は少陽病のときに使用されます。少陽病というのは邪が半表半裏におり、往来寒熱(熱くなったり、寒気を感じたりを交互に繰り返す)、胸脇苦満(胸から脇にかけてなんとなく重苦しい)、口苦などの症状を呈します。

桂枝湯は太陽病のとき(邪が身体の表にある)に使用されます。太陽病(中風)の症状としては発熱、悪寒があり、少し汗ばみ、鼻水がでるとき、いわゆる風邪のときです。

その間の状態に、またその両方の症状があるときに柴胡桂枝湯を使います。

・風邪の引きはじめ、寒気があるとき→桂枝湯、葛根湯、麻黄湯

・少し風邪がながびいてきたとき→柴胡桂枝湯

・風邪が長引き、熱と寒気を繰り返してきたとき→小柴胡湯

処方箋でもらう薬とドラッグストアで売っている薬はどう違うの?

処方箋でもらうときツムラが多いので、ツムラにはどれくらい生薬が入っているか調べてみました。

ツムラ10 7.5g(3包)中には、、、

日局サイコ    5.0g
日局ハンゲ    4.0g
日局オウゴン   2.0g
日局カンゾウ   2.0g
日局ケイヒ    2.0g
日局シャクヤク  2.0g
日局タイソウ   2.0g
日局ニンジン   2.0g
日局ショウキョウ 1.0g

医療用のメーカーごとの違いはあるの?

ケイヒの量などいくつかの生薬の量が異なるものがありますが、大きく量が異なるものはないです。

ドラッグストアで購入できるものとの違いは?

ドラッグストアで売られているものにはどれくらい生薬が入っているか調べてみました。

ツムラの漢方

一般用のツムラです。1日量には日局サイコ:2.5g、日局ハンゲ:2.0g、日局オウゴン:1.0g、日局カンゾウ:1.0g、日局ケイヒ:1.0g、日局シャクヤク:1.0g、日局タイソウ:1.0g、日局ニンジン:1.0g、日局ショウキョウ:0.5gと、医療用の半分の量しか配合されていません。

 ツムラ漢方内服液 柴胡桂枝湯S

こちらは一般用ツムラの液体タイプ。粉のタイプよりも生薬量が多く、医療用と同じ成分量入っています。

 クラシエ 柴胡桂枝湯エキス顆粒A

こちらはクラシエのエキス増量シリーズ。増量とあるだけあって、下で紹介したクラシエの漢方薬より生薬が多く、医療用と同じ量が配合されています!

クラシエ 柴胡桂枝湯エキス顆粒SII

サイコ3.75g、ハンゲ3.0g、ケイヒ1.875g、シャクヤク・オウゴン・ニンジン・タイソウ各1.5g、カンゾウ1.125g、ショウキョウ0.375gとこちらは医療用の3/4の量が入っています。

 

 

発熱、悪寒があり、少し汗ばみ、鼻水がでるときは桂枝湯。

風邪をこじらせ、往来寒熱(熱くなったり、寒気を感じたりを交互に繰り返す)、胸脇苦満(胸から脇にかけてなんとなく重苦しい)のときは小柴胡湯。

そのどちらの症状もあるようなときは柴胡桂枝湯です。

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