芍薬甘草湯はこむら返りのときに使用される漢方薬です。
68番で有名ですよね。
西洋薬にこむら返りに効く薬がないため、重宝されています。
漢方はゆっくり効くイメージがあると思いますが、この漢方薬は即効性があり、足がつってからすぐ飲んでも効果がでます。
血液透析患者に行われた研究では服用後たったの5分前後で効果を発揮しています。
芍薬甘草湯は筋肉の痙攣を抑えるため、こむら返りだけでなく、胃痛、腹痛、生理痛など幅広い筋肉の痛みに使用されます。
芍薬甘草湯には甘草が多く含まれているため、甘くて飲みやすいです。
↓芍薬甘草湯は甘草の量が多いため、四物湯が代用できないか、という論文です。
↓こむら返りでよく使用されるのは芍薬甘草湯ですが、効果がない時は疎経活血湯で効果があったという報告もあります。
疎経活血湯には四物湯の組み合わせが入っているため、足のつりが起こりやすい血虚に対応できます。
芍薬甘草湯はなぜ足のつりに効くのか?
芍薬の成分のペオニフロリンがカルシウムイオインの細胞内流入を防ぎ、甘草のグリチルリチン酸が細胞内のカリウムイオンの排出を促進し、筋弛緩作用が生じるといわれています。
芍薬甘草湯は芍薬と甘草の2つの生薬からなる、シンプルな漢方薬です。
漢方の目線で、芍薬甘草湯が足のつりに効くのか、考えてみましょう。
芍薬:筋肉の痙攣を抑える
芍薬はシャクヤクという植物の根のこと。
「立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合の花」ということわざでもでてくる芍薬です。
この芍薬には鎮痙作用があります。痙攣を鎮める作用です。
筋肉の痙攣を抑える作用だけでなく、お腹の痛みをとる目的(桂枝加芍薬湯など)でも用いられます。
芍薬は平性で、肝に入ります。肝は細かい筋肉の動きを担当しています。
けいれんという、肝の働きが過剰になっているものを芍薬で平肝・柔肝してくれます。
甘草:水分を補う
甘草はマメ科のカンゾウという植物の根のこと。
名前が示す通りこの生薬は甘いです。実はお菓子の甘味料としてもよく使用されています。
甘味料で使用されるといいましたが、中医学では甘い物は「水を補う」作用があるとされています。
足がつる要因として、脱水の可能性が指摘されています。
甘草は身体に水分を補うことでこむら返りを防ぎます。
芍薬甘草湯の効能又は効果は?
ツムラの添付文書の効能又は効果には「急激におこる筋肉のけいれんを伴う疼痛、筋肉痛・関節痛、胃痛、腹痛」と記載されています。
芍薬甘草湯には何がはいっているの?
その名前の通り、芍薬と甘草が入った漢方薬です。
芍薬甘草湯=芍薬+甘草
効果のまとめ
甘草で水分を補い、芍薬の鎮痙作用でけいれん、筋肉痛、胃痛を緩和します。
この漢方薬の特徴として配合生薬が少ないことがあげられます。
生薬の数が少ないと切れ味がいいです。
実際この漢方薬も即効性が高く、枕元に置いて寝ているという患者さんもいます。
芍薬甘草湯の副作用は?→長期服用はなるべく避ける
芍薬甘草湯で注意していただきたいことがあります。
それはなるべく大量に長期間服用しないことです。
甘草の副作用で偽アルドステロン症というものがあります。
グリチルリチン酸によってコルチゾールが増え、ナトリウムの再吸収を促進し、カリウムの排泄を増加させるため、低カリウム血症になることがあります。
筋力の低下、高血圧、浮腫みがでたら注意してください。
甘い物が水分を補うとあったように、甘草を大量に摂取することで水を過剰に補うことになり、浮腫みが起こりそうですよね。
処方箋でもらう薬とドラッグストアで売っている薬はどう違うの?
処方箋でもらうときツムラが多いので、ツムラにはどれくらい生薬が入っているか調べてみました。
ツムラ68には、、、
日局カンゾウ 6.0g
日局シャクヤク 6.0g
医療用メーカーでの違いは?
大手3社(ツムラ、クラシエ、コタロー)で比較してみました。コタローに使用されている生薬量がやや少なく、ツムラ、クラシエでは同じ量の生薬が使われていました。
ドラッグストアで購入できるものとの違いは?
ドラッグストアで売られているもの、市販で手に入るものにはどれくらい生薬が入っているか調べてみました。
コムレケア、ツラレスが医療用と同じ配合量だとわかります。
ツムラ漢方
こちらは処方箋でもらうツムラではなく、市販で販売しているツムラの商品
2包(3.75g)中に カンゾウ・シャクヤク各3g と書かれています。
医療用の半分の量です。
コムレケア
顆粒や錠剤だけでなく、ゼリーの水なしですぐに飲める珍しいタイプも売られています。粉が苦手な方には錠剤、ゼリーは飲みやすくておすすめです。
こちらは満量処方で1日量カンゾウ6.0gシャクヤク6.0gと医療用と同じ量の生薬が使用されています。
和漢箋ツラレス
こちらも満量処方1日12錠中にシャクヤク 6.0g、カンゾウ 6.0gと医療用と同じ量の生薬が配合されています。こちらは錠剤タイプとなっており、粉が苦手な方にはおすすめです。
筋肉の痙攣など足がつってお悩みの方、お薬、漢方薬でお悩みの方の参考になればと思います。
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