年とともに脂肪がつきやすくなった方、ストレスがあって便秘がちなときはどんな漢方薬がいいの?

大柴胡湯

最近ではお腹などの脂肪を落とす薬ということでビスラットゴールドbコッコアポG(コッコアポEXは防風通聖散が配合)に配合されているのが大柴胡湯です。

実際に大柴胡湯にそんな効果があるかと思い調べたところ、マウスによる研究がありました↓。

“Preventive effects spontaneous obeseof Daisaikoto on type II diabetesme”

https://ci.nii.ac.jp/els/contents110006152054.pdf?id=ART0008120013

この論文の要旨の一部を引用すると、「大柴胡湯は投与後期より体重増加や内臓脂肪の蓄積等に 対して低下作用を与えさらに,耐糖能異常,血圧の上昇や末梢神経障害を有意に抑制した。」とあるので、内臓脂肪の蓄積を抑える可能性はありそうですね。

目次

効能又は効果は?

ツムラの添付文書には「比較的体力のある人で、便秘がちで、上腹部が張って苦しく、耳鳴り、肩こりなど伴うものの次の諸症:胆石症、胆のう炎、黄疸、肝機能障害、高血圧症、脳溢血、じんましん、胃酸過多症、急性胃腸カタル、悪心、嘔吐、食欲不振、痔疾、糖尿病、ノイローゼ、不眠症」と記載があります。

何が入っているの?

大柴胡湯には柴胡、半夏、黄芩、芍薬、大棗、枳実、生姜、大黄の8の生薬が配合されています。

小柴胡湯から人参、甘草を抜き、代わりに芍薬、枳実、大黄を加えたもの。

大柴胡湯=小柴胡湯―人参ー甘草+芍薬+枳実+大黄

柴胡:清熱作用

ミシマサイコの根。かぜの中期のこじらせたときに、清熱作用として使用される。胸脇苦満という胸から脇にかけてなんとなく重苦しいときに緩和する作用もある。

半夏:吐き気を抑える

サトイモ科カラスビシャクの塊茎。薬性が燥。乾かす作用が強いため、湿性の咳嗽に有効です。気を下す作用があり、吐き気を抑える作用もあります。

黄芩:清熱作用

シソ科コバネバナの根。炎症を抑え、解熱作用を発揮します湿熱を取り除く作用があり、湿熱による下痢にも効果があります。

枳実:気を晴らし、胸腹部の緊張を緩和

ダイダイ、ナツミカンの未熟果実。腹部膨満感、慢性消化不良に使い、消化を促進する作用胸腹部の気を晴らすため、お腹の緊張を緩和し、膨満感を治します。

大黄:瀉下作用

タデ科ダイオウの根茎。センノシドAが含まれています。大黄が口から胃、小腸を通り、大腸に到達すると腸内細菌によってセンノシドAがレインアンスロンへ代謝されます。それが大腸を刺激することでお通じがでます。下剤としてだけでなく、気滞を晴らす作用、駆血作用ももっています。大柴胡湯では気鬱を晴らすために配合されています。

生姜:吐き気止め

小柴胡湯の倍近く生姜がはいっており、吐き気を抑えます。

効果のまとめ

柴胡、黄芩にて熱を取り除き、胸脇苦満(肋骨の下のところが張って苦しい状態)を改善し、半夏で吐き気を抑え、枳実、大黄にてお腹の張りを緩和します。裏に熱のこもった方の熱を冷ます漢方薬です。実際、構成生薬をみても寒の生薬の方が多く、冷やす漢方薬というのがわかります。

気滞(上腹部の張りを伴なう)、つまりストレスを晴らす効果もあるため、効能効果に不眠症、ノイローゼの記載があるのも納得できますね。

ただ大黄が配合されているので便秘でない方にはおすすめできません。

似た漢方薬との違い

市販の脂肪を減らす漢方薬で有名なものに防風通聖散があります。ドクターの方もよく処方されます。どちらも大黄が配合されており、お通じをよくする漢方薬となるのですが、防風通聖散には麻黄と石膏が配合されているため浮腫みにも対応しています。簡単にいれば、あくまでもイメージですが、防風通聖散は下剤と利尿剤が合わさったものです。

それに対し、大柴胡湯は浮腫みをとる作用がないですが、ストレスには効果があるのでストレスがある方にはこちらがおすすめです。

“大”柴胡湯があるなら、“小”柴胡湯も存在します。小柴胡湯は人参などが配合されており、大柴胡湯に比べると身体が弱っている方向けの漢方薬となっています。大黄も入っていないため、お腹を緩くすることもないです。肋骨の下のところが張って苦しく、やや虚弱な方には大柴胡湯よりも小柴胡湯が向いています。

処方箋でもらう薬とドラッグストアで売っている薬はどう違うの?

処方箋でもらうときツムラが多いので、ツムラにはどれくらい生薬が入っているか調べてみました。

ツムラ8 7.5g(3包)中には、、、

日局サイコ    6.0g
日局ハンゲ    4.0g
日局オウゴン   3.0g
日局シャクヤク  3.0g
日局タイソウ   3.0g
日局キジツ    2.0g
日局ショウキョウ 1.0g
日局ダイオウ   1.0g

医療用のメーカーごとの違いについて調べてみました

どのメーカーも生薬量はほぼ同じです。コタローだけがダイオウの量が他のメーカーよりも倍になっているので、よりお腹の張りに効果があります。またコタローには「大柴胡湯去大黄」という大柴胡湯から大黄を抜いた商品もあり、傷寒論の少陽と陽明の風邪や、便秘はないけど、ストレスで気滞傾向の方にも使用可能です。

ドラッグストアで購入できるものとの違いは?

ドラッグストアで売られているものにはどれくらい生薬が入っているか調べてみました。

ツムラ漢方

市販のツムラです。こちらは1日量で日局サイコ3.0g、日局タイソウ1.5g、日局ハンゲ2.0g、日局キジツ1.0g、日局オウゴン1.5g、日局ショウキョウ0.5g、日局シャクヤク1.5g、日局ダイオウ0.5gと医療量の半分の量の生薬量になっています。

ビスラットゴールドEX

こちらは錠剤タイプ!!粉が苦手な方にはこちらがおすすめです!

1日量サイコ 3.6g、ショウキョウ 0.6g、シャクヤク 1.8g、キジツ 1.2g、ハンゲ 2.4g、オウゴン 1.8g、タイソウ 1.8g、ダイオウ 0.6gと市販で手に入る中で1番生薬量が多いです!

 ビスラットゴールドb

こちらは錠剤タイプ!!粉が苦手な方にはこちらがおすすめです!

1日量サイコ 3.0g、ハンゲ 2.0g、ショウキョウ 0.5g、オウゴン 1.5g、シャクヤク 1.5g、タイソウ 1.5g、キジツ 1.0g、ダイオウ 0.5gとこちらも医療用の半分の生薬量になっています。

コッコアポG錠

こちらは錠剤タイプ!!粉が苦手な方にはこちらがおすすめです!

1日量サイコ3.0g、ハンゲ2.0g、ショウキョウ・ダイオウ各0.5g、オウゴン・シャクヤク・タイソウ各1.5g、キジツ1.0gとこちらも医療用の半分の生薬量になっています。

 

便秘がちで、上腹部が張って苦しいときは大柴胡湯を試してみてください。

 

 

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