生理の量が少ない、生理持続期間が短い

出し切れていない気がする、20代の頃はもっとでていたけど30代になってから量が減った気がする、出産する前はでていたけど、産後数年経つけど量が少なくなった、などの症状をおっしゃる方は多いです。

もちろん閉経に近づくにつれて生理量が減る場合は正常な現象です。

不妊症やそれ以外にも不眠症、不安になりやすい方などの相談をしますが、お話をうかがっていると全体的にそういった方が多い印象です。

西洋医学においては生理の量が20mLより少なければ過少月経といいます。

漢方においてはそういった明確な基準はありませんが、血を出し切れていない気がする、生理の量が少なく感じる、初日、2日目は量が多いが、3日目以降は少ない、生理持続期間が短いときは身体の内側に問題があるかもしれません。生理の量が少なくて困ることはないかもしれませんが、そういった状態が続くと不妊症、生理痛がひどくなる、更年期障害にも影響を与える恐れがあります。

 

目次

目次

  1. 血の塊がみられる、生理前にお腹が張り、生理が来ると軽減する方
  2. お腹が冷える、温かいものを好む、血の塊もある、生理血の色は薄い方
  3. 生理血の色が薄い、髪に潤いがない、肌が乾燥しやすい、生理時に腰痛のある方
  4. 胃腸が弱い、胃がもたれやすい、お腹がゆるくなりやすい方
  5. 痰湿

血の塊がみられる、生理前にお腹が張り、生理が来ると軽減する方

生理にレバー状のものが混ざるのははがれた子宮内膜なので問題ありませんが、血の塊が混ざるときは血の滞りがあるかもしれません。

血の滞り(漢方では瘀血といいます)があることで生理血の中に血の塊が生じます。

瘀血(おけつ)をお腹から排出しきれないため、生理を出し切れていない感じ、生理の量が少なくなります。瘀血が生理の邪魔をするので生理痛となり、子宮内膜症、不妊症へとなる恐れもあります。血の巡りの悪さから目の周りのくま、冷え性にも関連します。

瘀血から生じる生理不順には桂枝茯苓丸折衝飲が使われます。

桂枝茯苓丸には桃仁・牡丹皮といった活血の生薬が入り、血のめぐりを改善します。

折衝飲にはより多くの血に働く生薬が入り、桃仁・牡丹皮以外に延胡索・紅花も入っています。

ドラッグストアでも扱っているもので血のめぐりを改善するものは命の母ホワイトがおすすめです。命の母ホワイトは桂枝茯苓丸と当帰芍薬散をあわせたような漢方薬です。大黄が入っているため便秘がちな方に適しています。

お腹が冷える、温かいものを好む、血の塊もある、生理血の色は薄い方

お腹に冷えが入り込み、それが滞ること(寒凝)で生理の量が少なくなったり、生理持続期間が短くなったりすることがあります。

お腹に冷えが侵入し、それが結気することで気血の流れが悪くなり、お腹の冷え、生理痛、血の塊、生理血の色も冷えから薄くなり、肌の乾燥もあります。

お腹を温めるために温経湯を使います。

温経湯には呉茱萸が入り、身体を温め、お腹を温め、手足も温めます。
当帰・芍薬・川芎にて血も養ってくれます。

現代人は冷え性の方も多く、冷えがお腹にも影響を与えることで生理の量が少なくなる、生理痛、生理不順となります。お腹、手足の冷え、生理血の色が薄い、肌が乾燥するときは寒凝が原因の恐れがあるため温経湯が適しています。



生理血の色が薄い、髪に潤いがない、肌が乾燥しやすい、生理時に腰痛のある方

血の量が少なったり、腎精が少ないことで生理の量が少なったり、生理持続期間が短くなったりします。

血の量が少ない(血虚)ため、生理血の色も薄く、髪に潤いがなく、肌も乾燥し、目にくまができることもあります。

先天的に腎精が弱かったり、出産などで腎精を消耗すると腎虚となります。腎虚から生理時に腰痛がしたり、生理血がうすくなったりします。

血虚と腎虚は異なるものですが、肝血虚と腎虚は相関があり、肝血が不足することで腎までも弱くなったり、腎精が不足することで肝血までも弱くなったりします。肝腎の充足は正常な生理、妊娠に必要な条件となります。

血虚が強ければ血を補う四物湯や腎虚が強ければ六味丸がつかわれます。

温経湯には当帰・芍薬・川芎にて養血する生薬、阿膠という腎陰を補う生薬が入っているためこういった場合にも使うことができます。

腎陽という温める力が弱っているときは鹿茸、杜仲、淫羊藿などが使われます。

こういった体質の方におすすめの食品にクコの実、プラセンタがあります。クコの実は肝腎を補うものとして、枸菊地黄丸に使われています。プラセンタは腎陽を補い、潤性だが、膩ではなく、使いやすい食品です。

胃腸が弱い、胃がもたれやすい、お腹がゆるくなりやすい方

胃腸の弱さから生理量が少なくなったり、生理持続期間が短くなっている場合です。胃腸が弱いと食事から栄養を吸収することができず、気血を養うことができません。肝腎の虚に至るときに胃腸の弱さがより根本的な要因であることもよくあります。胃腸がしっかりしていれば栄養を吸収し、肝腎を補うことができ、肝腎虚に陥ることを避けることができます。

胃腸が弱いため、胃がもたれやすく、お腹がゆるくなりやすく、軟便傾向、生理血の色も薄いとき補中益気湯を使います。

補中益気湯が直接、生理血量を増やすわけではありませんが、弱っている胃腸を強くすることで気血が養われ、結果的に生理環境も正常になります。

痰湿

痰湿という身体に湿気が溜まることでも生理に影響を与えます。停滞している水が鬱熱から熱化し、痰湿となります。痰湿によって気血の流れが悪くなり、生理に影響を与えます。日本は湿気が多い気候で、さらに食生活が欧米化し、食事の味も濃くなっていることから、病因に痰湿が絡んでいることは多いです。温胆湯、二陳湯にて祛痰します。

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