疲れやく食欲低下し、いらいらして眠れないときはどういう漢方薬がいいの?

加味帰脾湯

脾気虚、心血虚のときに使用する漢方薬です。わかりやすく言うと、虚弱体質で血色の悪い方の不眠やいらいらに使用されます。心は精神症状をつかさどり、心の血が不足していると精神症状があらわれます。そのため不眠症、うつ、自律神経の調子が悪い方に使用されます。

帰脾湯に柴胡と山梔子が加わった、加味帰脾湯はよりイライラやのぼせが強い方に適しています

目次

論文

・抗不安作用があり、ツムラの添付文書には“マウスに経口投与したところ、改良型高架式十字迷路実験において抗不安様作用を示した”と実験の結果もでています。

・耳管開放症が疑われた症例に対する漢方治療

https://www.jstage.jst.go.jp/article/kampomed/63/5/63_336/_article/-char/ja/

・強い気虚,不眠がある抑うつ傾向の患者に加味帰脾湯を投与したところ月経前症候群のみならず月経痛にも奏効した3症例の検討

https://www.jstage.jst.go.jp/article/kampomed/65/4/65_273/_article/-char/ja/

・加味帰脾湯投与により副腎皮質ホルモン剤の減量が可能となった特発性血小板減少性紫斑病の 二例

https://ci.nii.ac.jp/els/contents110004001984.pdf?id=ART0005783019

以上から抗不安作用もありますし、生理痛にも応用できますし、耳鼻科では耳管開放症の方にも使用されます。

効能又は効果は?

ツムラの添付文書には「虚弱体質で血色の悪い人の次の諸症:貧血、不眠症、精神不安、神経症」と記載があります。

何が入っているの?

帰脾湯には竜眼肉、酸棗仁、当帰、遠志、茯苓、人参、黄耆、白朮、木香、大棗、生姜、甘草、柴胡、山梔子の14種類の生薬は配合されています。帰脾湯に柴胡と山梔子が加わり、加味帰脾湯となっています。

加味帰脾湯=帰脾湯+柴胡、山梔子

柴胡:清熱作用

ミシマサイコの根。いらいらなどの肝による熱を冷ます作用があります。

山梔子:清熱、精神安定作用

アカネ科クチナシの果実。熱を冷まし、精神安定作用があります。

竜眼肉:精神安定作用

ムクロジ科リュウガンの仮種皮。気血を補い、精神を安定させる。

酸棗仁:精神安定作用

クロウメモドキ科サネブトナツメの種子。精神安定作用があり、精神的な発汗を抑える。

当帰:補血作用、血流改善

セリ科トウキの根。補血作用があり、血行を促進し、冷えを緩和します。生理不順の方に使用され、妊婦の方には安胎作用があります。

遠志:精神安定作用

ヒメハギ科イトヒメハギの根。精神安定作用があり、気を解消し、去痰作用もある。

茯苓:利水作用

サルノコシカケ科マツホドの菌核。利水作用があり、身体の水のバランスを調整してくれます。胃内停水を改善し、胃腸機能を調える作用気を降ろす作用があり、精神安定作用もあります。

人参:消化吸収の働きをよくする、気を補う

ウコギ科オタネニンジンの根。日常、口にするニンジンはセリ科のニンジンで、漢方で使用されるものと異なります。補脾剤で胃腸からの吸収を良くし、強力に気を補う作用があります。

黄耆:補気剤。利水剤

マメ科キバナオウギの根。補気剤で気が足りていない方に用います。陽気を巡らせ、上昇させます。水を巡らせる作用があるため、浮腫みを緩和します。浮腫みを改善し、汗を止める作用もあります。

白朮:利水作用

キク科オケラ、オオバナオケラの根茎。似た仲間の蒼朮と識別が困難であり、作用もほぼ同じためツムラの漢方薬には白朮ではなく、蒼朮が入っています。健胃作用があり、胃の調子をよくする作用。利水作用があり、湿を取り除き、水の代謝異常を改善します。

木香:気をめぐらす作用

気をめぐらすことで胃腸を温め、消化を助ける作用

大棗、生姜、甘草:胃薬

効果のまとめ

柴胡、山梔子でいらいらの熱を冷まし、人参、黄耆、白朮、甘草、生姜、大棗で脾を補い、当帰で血を補い、竜眼肉、酸棗仁、遠志で精神安定作用を果たす。

漢方薬の違い

帰脾湯、加味帰脾湯は気と血を補う漢方薬です。似た系統の漢方薬として十全大補湯、人参養栄湯があります。

人参養栄湯は気と血を補い、さらに陽を補う作用があります。

帰脾湯は脾の気と心の血を補う作用が強いため、精神症状がある際に使用します。

加味帰脾湯は帰脾湯に柴胡と山梔子が加わったもの。心、脾の不調にさらに肝の気滞と熱がこもり、イライラ、のぼせが強いときに使用されます。

人参養栄湯は心の気血、肺脾の気を補うのが特徴となっており、慢性疾患や消耗性疾患の呼吸器症状、動悸などどの精神症状を同時に治療することができます。

 加味帰脾湯と似た名前で加味逍遙散という漢方薬もあります。加味逍遙散は気を晴らす生薬で構成されており、イライラや更年期の方に使用されることが多いです。加味帰脾湯との違いは、加味帰脾湯は虚弱体質の方に気と血を補充し、さらにイライラを抑えるのに対し、加味逍遙散は気血を補う作用は弱く、気を晴らす作用がメインになっています。

処方箋でもらう薬とドラッグストアで売っている薬はどう違うの?

処方箋でもらうときツムラが多いので、ツムラにはどれくらい生薬が入っているか調べてみました。

ツムラ137 7.5g(3包)中には、、、

局オウギ      3.0g
日局サイコ      3.0g
日局サンソウニン  3.0g
日局ソウジュツ    3.0g
日局ニンジン     3.0g
日局ブクリョウ    3.0g
日局リュウガンニク 3.0g
日局オンジ      2.0g
日局サンシシ     2.0g
日局タイソウ     2.0g
日局トウキ      2.0g
日局カンゾウ     1.0g
日局ショウキョウ   1.0g
日局モッコウ     1.0g

ドラッグストアで購入できるものとの違いは?

ドラッグストアで売られているものにはどれくらい生薬が入っているか調べてみました。

クラシエ 加味帰脾湯エキス顆粒

こちらは医療用の加味帰脾湯の生薬量は半分になっています。

和漢箋(わかんせん) ユクリズム

実は成分は加味帰脾湯です。こちらも医療用の半分の生薬量になっています。

 

疲れやく食欲低下し、いらいらして眠れないときはどういうときは加味帰脾湯です。

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