防已黄耆湯
簡単に言えば、浮腫みに効く漢方薬です。
浮腫みを改善する漢方薬のため、水太りの方に使いますし、汗が多い方にも使われます。水が溜まって生じる関節の痛みにも使用されます。
マウスの実験ですが、血糖値を下げる効果もあるみたいですね↓。
https://ci.nii.ac.jp/naid/110001867660
効能又は効果は?
ツムラの添付文書には「色白で筋肉軟らかく水ぶとりの体質で疲れやすく、汗が多く、小便不利で下肢に浮腫をきたし、膝関節の腫痛するものの次の諸症:腎炎、ネフローゼ、妊娠腎、陰嚢水腫、肥満症、関節炎、癰、せつ、筋炎、浮腫、皮膚病、多汗症、月経不順」と記載があります。
身体に溜まった水をとる漢方薬と考えれば効能効果も理解できます。皮膚病の記載があるのは、黄耆に皮膚の調子をよくする作用があるためだと考えられます。
何が入っているの?
防已黄耆湯には防已、黄耆、白朮、大棗、生姜、甘草6のつの生薬が配合されています。
防已:利水作用
ツヅラフジ科オオツヅラフジの根茎。利水作用があり、体表の滞っている水、湿を取り除く。浮腫みがとれ、倦怠感を緩和します。関節炎で腫れている状態というのは、その部分に湿がたまっている状態といえ、防已によって湿を除くことで関節の痛みも緩和します。
黄耆:補気剤。利水剤
マメ科キバナオウギの根。補気剤で気が足りていない方に用います。陽気を巡らせ、上昇させます。水を巡らせる作用があるため、浮腫みを緩和します。浮腫みを改善し、汗を止める作用もあります。
白朮:利水作用
キク科オケラ、オオバナオケラの根茎。似た仲間の蒼朮と識別が困難であり、作用もほぼ同じためツムラの漢方薬には白朮ではなく、蒼朮が入っています。健胃作用があり、胃の調子をよくする作用。利水作用があり、湿を取り除き、水の代謝異常を改善します。
大棗、生姜、甘草:胃薬
効果のまとめ
黄耆で気を補い、水を巡らせ、防已、白朮の利水作用で浮腫みを緩和します。
ほかの漢方薬との違い
・防風通聖散と防已黄耆湯の違い
脂肪を減らすことを謳っている商品で一番有名なのは防風通聖散です。次に名前を聞くのが防已黄耆湯なので、この二つを比較したいと思います。
防已黄耆湯に向いている人の体質としては、水を巡らし、浮腫みをとる漢方薬なので、色白筋肉でガッチリしてない水太りの方です。
それに対し、防風通聖散は身体に溜まった毒を出すような漢方薬なので、向いている方は身体がガッチリした、どちらかというと筋肉質で便秘気味の方に向いています(防風通聖散を服用するとお腹がゆるくなりやすいです)。
処方箋でもらう薬とドラッグストアで売っている薬はどう違うの?
処方箋でもらうときツムラが多いので、ツムラにはどれくらい生薬が入っているか調べてみました。
ツムラ20 7.5g(3包)中には、、、
日局オウギ 5.0g
日局ボウイ 5.0g
日局ソウジュツ 3.0g
日局タイソウ 3.0g
日局カンゾウ 1.5g
日局ショウキョウ 1.0g
医療用の漢方薬のメーカーでの違いは?
大手3社(ツムラ、クラシエ、コタロー)で比較してみました。コタローが生姜の量がやや少ないですね。防已黄耆湯の出典の金匱要略では白朮が使用されていますが、ツムラでは蒼朮が使用されています。
ドラッグストアで購入できるものとの違いは?
ドラッグストアで売られているものにはどれくらい生薬が入っているか調べてみました。
ツムラ漢方
1日量で日局オウギ2.5g、日局タイソウ1.5g、日局ボウイ2.5g、日局カンゾウ0.75g、日局ソウジュツ1.5g、日局ショウキョウ0.5gと医療用の半分の生薬量になっています。
ロコフィットGL(太りぎみのせいでヒザが痛いあなたのために)
太りぎみと書いてありますが、防已黄耆湯は浮腫みをとる漢方薬のため、水が溜まって、太っている方には適しています。
こちらも1日量は医療用の半分の量になっています。
和漢箋 ラクリア(だるさ・痛みを感じる浮腫み、ひざなどの関節の痛みに)
ラクリアは医療用と同じ量の生薬が配合されています!
コッコアポL錠(筋肉にしまりのない余分な脂肪を減らす)
こちらも1日量は医療用と同じ量が配合されています。
パーケージに筋肉にしまりのない、と記載がありますが、これは水太りのことを表しています。コッコアポの中でも水太りの方には適しています。
使用されている生薬の量を考えたら、ラクリアかコッコアポLが多いですね。
全身の浮腫みをとる漢方薬です。浮腫みをとることで関節痛にも効果がありますし、汗をよくかく方にも使用されます。そして水太りの方には浮腫みをとることでスッキリします。