猪苓湯
猪苓湯は水が溜まっているのを出し、炎症をおさえる漢方薬です。そのため膀胱炎の方によく処方されます。膀胱炎以外にも尿路結石のときには石を出しやすくする効果もあります↓。https://ci.nii.ac.jp/els/contents110004001143.pdf?id=ART0005781573
頻尿にも使用されます。猪苓湯は過剰な水を出す作用があるため、一時的にトイレは近くなりますが、しっかり水をだしてあげることで結果的には頻尿を抑えることにつながります↓。
https://www.kampo-s.jp/k_square/journal/kampoigaku/vol41_no2/03_interview01.pdf
効能又は効果は?
ツムラの添付文書には「尿量減少、小便難、口渇を訴えるものの次の諸症:尿道炎、腎臓炎、腎石症、淋炎、排尿痛、血尿、腰以下の浮腫、残尿感、下痢」と記載があります。
何が入っているの?
猪苓湯には猪苓、滑石、沢瀉、茯苓、阿膠の5つの生薬が配合されています。
猪苓:利水作用
チョレイマイタケの菌核。利水作用にて水の偏在を緩和します。
滑石:利尿作用、清熱作用
ケイ酸アルミニウムを主成分とする軟滑石という鉱物。熱を冷ます作用と利尿作用があります。
沢瀉:利水作用
オモダカ科サジオモダガの塊茎。除湿、利水作用。気を降ろし、水滞による頭重感、めまい、耳鳴りを利水作用にて改善します。
茯苓:利水作用
サルノコシカケ科マツホドの菌核。利水作用があり、身体の水のバランスを調整してくれます。胃内停水を改善し、胃腸機能を調える作用、気を降ろす作用があり、精神安定作用もあります。
阿膠:止血作用
牛のコラーゲン。止血作用が強く、出血がある状態のときによく使用されます。
効果のまとめ
猪苓、滑石、沢瀉、茯苓による利水、利尿作用で水をだし、さらに猪苓、滑石、沢瀉で炎症を抑えます。阿膠が配合されていることで出血を抑えます。
効能効果に記載されている尿量減少などは膀胱炎の症状をあらわしています。残尿感と書いてあるのは猪苓湯に利水作用があるため、それを改善します。
ほかの漢方薬との違いは?
・猪苓湯合四物湯と猪苓湯の違いは?
猪苓湯合四物湯=猪苓湯+四物湯。四物湯は肌が乾燥してあり、色のつや悪い、血虚という状態のときに使用される漢方薬です。膀胱炎の症状があり、出血や乾燥など血虚の症状があるときに使用されます。
・五淋散と猪苓湯の違いは?
ほぼ似たような効果の漢方薬です。五淋散の方が構成生薬が11種と多くなっており、冷え性の傾向があるときはこちらが適しています。市販でもこちらの方が商品の数も多く、膀胱炎のときは五淋散が一番手に入りやすいです。
・清心蓮子飲と猪苓湯の違いは?
清心蓮子飲は猪苓湯にくらべ、気を補う生薬、精神安定作用のある生薬が配合されています。虚弱でイライラ、不眠の精神症状を伴う膀胱炎の症状があるときはこちらが適しています。
・竜胆瀉肝湯と猪苓湯の違いは?
竜胆瀉肝湯は猪苓湯に比べ、症状が強く、しつこいときに使用されます。
処方箋でもらう薬とドラッグストアで売っている薬はどう違うの?
処方箋でもらうときツムラが多いので、ツムラにはどれくらい生薬が入っているか調べてみました。
ツムラ40 7.5g(3包)中には、、、
日局カッセキ 3.0g
日局タクシャ 3.0g
日局チョレイ 3.0g
日局ブクリョウ 3.0g
アキョウ 3.0g
医療用の漢方薬の違いはあるの?
医療用でよく使用される大手3社(ツムラ、クラシエ、コタロー)での使用されている生薬量の違いを調べてみました。コタローではアキョウという動物のコラーゲンの代わりとしてゼラチンが使用されています。使用されている生薬の量自体はどこのメーカーも同じでした。
ドラッグストアで購入できるものとの違いは?
ドラッグストアで売られているものにはどれくらい生薬が入っているか調べてみました。
ツムラ漢方
1日量で日局タクシャ1.5g、アキョウ1.5g、日局チョレイ1.5g、カッセキ1.5g、日局ブクリョウ1.5gと医療用の半分の量になっています。
クラシエ
1日量がチョレイ・ブクリョウ・タクシャ・アキョウ・カッセキ各1.5gと、医療用の半分の量になっています。クラシエはツムラと違い、錠剤タイプのものもあります!赤いパッケージのものは錠剤タイプとなっているので、粉が苦手な方にはこちらがおすすめです。
JPS
それぞれの生薬は1.8gずつ入っており、市販のなかでは生薬が多く配合されています。こちらは錠剤タイプとなっているので、粉が苦手な方にはこちらがおすすめです!
排尿痛、残尿感のある方に猪苓湯です。