大建中湯
大建中湯とは?
ツムラの漢方薬で一番売れているのが大建中湯です。
お腹が冷えて、痛むということからイレウス(腸閉塞)の抑制つかわれることが多いです。
“大”建中湯と“小”建中湯は名前が似ていますが、構成生薬は全く異なるので注意が必要です。
大建中湯と小建中湯は名前が似ていますが、内容は全く異なります。
小建中湯のページで建中湯類をまとめているので参考にしてください。
大建中湯の出典は?
大建中湯は『金匱要略』腹満寒疝宿食病篇に記載があります。
「心胸中大寒痛、嘔不能飲食、腹中寒、上衝皮起、出見有頭足、上下痛而不可触近、大建中湯主之。」
『金匱要略』
心部、胸部のあたりに寒気が入り込み、大寒痛が生じ、寒気が上逆し、吐き気・食欲不振・腹中寒となり、強い寒気がお腹に侵入していることがわかります。
“上衝皮起、出見有頭足”は『金匱要略講義』(湖北中医学院編、武藤達吉訳)によると“腹中の寒気が攻衝して皮膚に頭や足のような塊状物が突出することの形容”とあり、寒気の腹部へのガス・便の停留などの影響は表面にもあらわれてきます。
寒気が上下へ移動したり、触れただけでも激痛です。
お腹の激痛、吐き気はイレウスの症状にも当てはまり、腸がうまく蠕動できないのは脾胃が虚してるためであることからも、イレウスに大建中湯を使うのは妥当だと考えられます。
そういった中焦の強い冷えを温めるためには大建中湯をつかいます。
大建中湯に入っている生薬は?
大建中湯は人参・山椒・乾姜・膠飴から構成されています。
君薬は蜀椒、つまりサンショウのことです。大建中湯は服用すると山椒の風味を感じます。蜀椒は辛温にて温中し、陽気を充盛します。
附子は根を使っているため陽気を走らせる作用がありますが、蜀椒は実であり、中焦に働きます。
乾姜も同じく温中し、中焦を温めます、ここでは中焦を温補する効果を期待しているため生姜ではありません。
人参も中焦の気を補い、膠飴の甘味にて補虚建中します。
『金匱要略』には服用法についても注釈が記載されており、「可飲粥二升、後更服、当一日食糜(粥)、温覆之」とあり、お粥と一緒に服用するようにとあり、身体を温め、お米の粘性にて薬力を中焦にとどめます。一日中お粥を食べるようにと食事についても注意されています。
大建中湯は大温の生薬から構成されています。冷えで動かなくった状態を大建中湯で強く温め、胃腸の働きを取り戻します。
大建中湯の効能効果は?
ツムラの添付文書には「腹が冷えて痛み、腹部膨満感のあるもの」と記載があります。
大建中湯の医療用のメーカーごとの違いは?
大手3社(ツムラ、クラシエ、コタロー)の生薬量を比較してみましたが、扱いがあるのはツムラとコタローのみでした。
コタローではコウイが20g入っており、ツムラは膠飴が10gで、量が異なります。
ツムラでは大建中湯の量が1日15gです。1包が2.5gであることから1日6包(1回2包ずつ)となるので、量に注意です。
コタローでは大建中湯の量が1日27gです。1包が3.0gであることから1日9包(1回3包ずつ)となるので、こちらも量に注意が必要です。
大建中湯の市販のおすすめは?
大建中湯の市販のなかで生薬量が多いのは「コタロー」が医療用の8割の生薬量がつかわれており、おすすめです。
コタローの大建中湯は扱っているところが少なく、楽天、アマゾンでは見つけることができませんでした。
次におすすめなのが、市販薬の「ツムラ」大建中湯です。