大黄甘草湯
便秘に使用される漢方薬です。お通じのお薬なので、自分のペースで調節して服用します。大黄甘草湯は腸を刺激して排便を促す漢方薬です。そのため妊婦の方にはおすすめはできません。また服用して腹痛がでることがあります。そういった腹痛があるときは別のタイプのお通じのお薬(酸化マグネシウム)をおすすめします。酸化マグネシウムは腸内に潤いを与えることで便を軟らかくし、お通じをよくします。
効能又は効果は?
ツムラの添付文書には効能・効果に「便秘症」と記載されています。
便秘症の方になぜ用いられるのか解説していきます。
何がはいっているの?
大黄甘草湯にはその名の通り、大黄と甘草が配合されています。
大黄:大腸を刺激して便通を促す
大黄というのはタデ科ダイオウの根茎のことでセンノシドAが含まれています。大黄が口から胃、小腸を通り、大腸に到達すると腸内細菌によってセンノシドAがレインアンスロンへ代謝されます。それが大腸を刺激することでお通じがでます。下剤としてだけでなく、気鬱を晴らす作用(桃核承気湯)、駆瘀血作用ももっています。
甘草:味を整え、脱水を防ぐ
甘草はマメ科カンゾウの根のことです。この生薬は耳にしたことがあることがある生薬かもしれません。名前の通り、この生薬は甘いです。実はお菓子の甘味料としてもよく使用されています。これが配合されている理由は2つあります。1つは大黄が苦いため、矯味剤として。もう1は水を補うためだと考えられます。中医学では甘い物は水を補う作用があるとされています。大黄の瀉下作用で水分を失うので、甘草の補水作用で脱水を予防しています。
効果のまとめ
大黄で腸を刺激し、便通を改善し、甘草で脱水を予防します。
ほかの漢方薬との違いは?
・調胃承気湯と大黄甘草湯の違いは?
調胃承気湯は大黄甘草湯に芒硝を加えたもの(調胃承気湯=大黄甘草湯+芒硝)。芒硝は腸に潤いを与えることでお通じをよくします。大黄がセンノシドなら、芒硝はカマグのイメージです。大黄甘草湯より便秘に効きがよくなったものが調胃承気湯です。
・麻子仁丸と大黄甘草湯の違いは?
麻子仁丸には麻子仁というアサの種子。種子には油が含まれるため、油で便の滑りをよくします。水分が足りず、便秘傾向になっている方には麻子仁丸が適しています。
・潤腸湯と大黄甘草湯の違いは?
潤腸湯も便秘で使用される漢方薬です。麻子仁丸に似ているのですが、こちらも身体に潤いを与えることでお通じをよくします。麻子仁丸よりも潤す能力が強いです(乾燥に対する作用:潤腸湯>麻子仁丸)。便だけでなく、皮膚も乾燥しているときは潤す力の強い潤腸湯が適しています。
処方箋でもらう薬とドラッグストアで売っている薬はどう違うの?
処方箋でもらうときツムラが多いので、ツムラにはどれくらい生薬が入っているか調べてみました。
ツムラ84 1日7.5g(3包)中には
日局ダイオウ 4.0g
日局カンゾウ 2.0g
つまり、2.5g(1包)には
日局ダイオウ 1.3g
日局カンゾウ 0.67g
ドラッグストアで購入できるもの、市販で手に入るものと医療用の違いは?
タケダ漢方便秘薬
「漢方」便秘薬と書いてありますが、これは大黄甘草湯のことです。
1錠中に大黄甘草湯エキス散・・・200mg
(ダイオウ(大黄)267mg、カンゾウ(甘草)67mgより抽出)
頑固な便秘、4日以上便通がないときは成人であれば4錠まで服用できるので、単純に4錠分だと大黄が1.068g、甘草が0.268g配合されています。
医療用のツムラ1包当たりと比較すると、若干生薬の量が少なく感じますが、実はこの商品に日本最大手の製薬企業のこだわりがつまっています!
まず生薬にはタケダが20年以上かけて開発した「信州大黄」を使用されています。さらにお通じのお薬なので自己調節しやすいように自分で割りやすい設計になっています。
皇漢堂 漢方便秘薬
4錠1日量のなかに
ダイオウ・・・1600mg
カンゾウ・・・400mg
こちらもしっかり生薬が入っています。
大黄甘草湯が大腸を刺激して排便を促すタイプのお薬だと理解していただけましたか?便秘薬には腸を刺激しないタイプのお薬もあるので、また機会があれば説明したいと思います。自分にあったお薬をつかってください。