五虎湯
喘息で咳き込んで、痰がある方に使用される漢方薬です。
名前の由来
五虎湯の五は5つの生薬が配合されているという意味です。次に虎という文字ですが、こちらにもいくつか意味があります。喘息がおきるのは明け方、つまり虎の刻に起こることが多いです。そのため五虎湯という話があります。
効能又は効果は?
添付文書には「せき、気管支喘息」と記載されています。
何が入っているの?
この五虎湯は麻杏甘石湯という漢方薬に桑白皮という生薬が追加されたものです。
五虎湯=麻杏甘石湯(麻黄、杏仁、甘草、石膏)+桑白皮
麻黄:利水作用
マオウ科の植物の地上茎。強い発汗作用を持ち、桂皮と一緒に使用されることでより強い発汗作用を発揮します(麻黄湯)。麻杏甘石湯では利水作用を目的として配合されています。麻黄と石膏が組むことで溜まっている水を内側に引き込みます。喘息は気管が炎症を起こして浮腫んでいる状態のことですので、水を内側に引き込み、浮腫みをとります。
石膏:熱を冷ます
天然で採取された硫酸カルシウムの塊。天然と書いているのは、効果を発揮する成分が硫酸カルシウムだけではないと考えられているからです。天然の石膏に含まれている微量の何かの成分によって効果を発揮しています。漢方薬に使用される石膏は煎じるとき大量に必要になります。有効成分が微量であるため、たくさんの石膏を煎じる必要性がでてきているのです。石膏には強力に熱を冷ます作用があります。高熱のときや、脱水状態のときに使用される白虎加人参湯にも配合されています。肺の炎症を抑え、咳を抑える作用もあります。熱を冷ます作用があるため、熱性の湿疹やアトピーに使用されることもあります。
杏仁:咳止め
バラ科アンズの種子。杏仁といえば杏仁豆腐ですよね?杏仁豆腐はアンズの種子の皮を取り除いたものを使用しています。またシロップのお薬でキョウニン水というものがあります。キョウニン水というのは咳止めとして現在でも使われているお薬です。このシロップ剤からも杏仁は咳止め薬ということがわかります。「仁」というのは種子という意味なのですが、種子には油が多く入っていることから便通をよくする作用もあります。
桑白皮:痰きり
名前からわかるようにクワ科マグワの根皮のことです。肺の炎症を抑え、咳を抑えます。水滞を除く作用があり、去痰作用もあります。
効果のまとめ
麻黄、石膏が組み、熱を強力に冷まし、咳を抑えます。喘息は気管支に炎症があり、浮腫みがある状態ですので、水を内側に引き込むことで気管支の浮腫みを緩和します。杏仁で鎮咳作用をサポートします。桑白皮で痰を切ります。
漢方薬の違い
咳き込む喘息であれば麻杏甘石湯、喘息にさらに痰がたくさんでるようであれば五虎湯が適当です。
処方箋でもらう薬とドラッグストアで売っている薬はどう違うの?
処方箋でもらうときツムラが多いので、ツムラにはどれくらい生薬が入っているか調べてみました。
ツムラ95 7.5g(3包)中には、、、
日局セッコウ 10.0g
日局キョウニン 4.0g
日局マオウ 4.0g
日局ソウハクヒ 3.0g
日局カンゾウ 2.0g
ドラッグストアで購入できるものとの違いは?
ドラッグストアで売られているものにはどれくらい生薬が入っているか調べてみました。
クラシエ 五虎湯エキス顆粒SII
マオウ・キョウニン各3.0g、カンゾウ1.5g、セッコウ7.5g、ソウハクヒ2.25gがはいっており、医療用の3/4量が入っています。
クラシエ 五虎湯エキス顆粒A
マオウ・キョウニン各4.0g、カンゾウ2.0g、セッコウ10.0g、ソウハクヒ3.0g
こちらはエキス増量シリーズです!
満量処方であり、医療用と同じ成分量が入っています。
喘息のように咳き込むときは五虎湯です。