茵蔯五苓散
五苓散に茵蔯蒿(いんちんこう)が加わったものが茵蔯五苓散です。五苓散は利水の漢方薬といわれ、水の偏在を治す漢方薬です。茵蔯蒿という除湿の生薬が加わり、水飲・湿を追い出す作用が強化されたものが茵蔯五苓散です。
茵蔯五苓散は『金匱要略』に記載のある漢方薬で、黄疸病篇に書いてあります。
効能又は効果は?
ツムラの添付文書には「のどが渇いて、尿が少ないものの次の諸症:嘔吐、じんましん、二日酔のむかつき、むくみ」と記載があります。
何が入っているの?
i茵蔯五苓散には桂皮、沢瀉、猪苓、白朮、茯苓、茵蔯蒿の5つの生薬が配合されています。
桂皮:通陽
桂皮はクスノキ科のCinnamomum sassia Blumeの樹皮を乾燥させたものです。シナモンの仲間です。陽気を補うことで水の巡りを助けます。
沢瀉:利水作用
オモダカ科サジオモダガの塊茎。除湿、利水作用。気を降ろし、水滞による頭重感、めまい、耳鳴りを利水作用にて改善します。
猪苓:利水作用
チョレイマイタケの菌核。利水作用にて水の偏在を緩和します。
白朮:利水作用
キク科オケラ、オオバナオケラの根茎。似た仲間の蒼朮と識別が困難であり、作用もほぼ同じためツムラの漢方薬には白朮ではなく、蒼朮が入っています。健胃作用があり、胃の調子をよくする作用。利水作用があり、湿を取り除き、水の代謝異常を改善します。
茯苓:利水作用
サルノコシカケ科マツホドの菌核。利水作用があり、身体の水のバランスを調整してくれます。胃内停水を改善し、胃腸機能を調える作用、気を降ろす作用があり、精神安定作用もあります。
茵蔯蒿:除湿
茵蔯蒿は黄疸につかわれるほど湿熱に対する作用が強く、湿によるじんましんも抑えます。
効果のまとめ
桂皮以外の沢瀉、猪苓、白朮、茯苓の4薬はすべて利水の生薬です。桂皮で気を巡らせ、茵蔯蒿にて除湿します。茵蔯五苓散にて身体に溜まっている水飲を是正するため、二日酔い、ふくみ、じんましんに効果を発揮します。
処方箋でもらう薬とドラッグストアで売っている薬はどう違うの?
処方箋でもらうときツムラが多いので、ツムラにはどれくらい生薬が入っているか調べてみました。
ツムラ117 7.5g(3包)中には、、、
日局タクシャ 6.0g
日局ソウジュツ 4.5g
日局チョレイ 4.5g
日局ブクリョウ 4.5g
日局インチンコウ 4.0g
日局ケイヒ 2.5g
医療用の漢方のメーカーの違いは?
ツムラのみの扱いでした。
ドラッグストアで購入できるものとの違いは?
ドラッグストアで売られているものにはどれくらい生薬が入っているか調べてみました。
茵蔯五苓散エキス細粒G「コタロー」
医療用のおよそ8割の生薬量になっています。
二日酔い、むくみ、じんましんに茵蔯五苓散