潤腸湯
便秘のときによく使用される潤腸湯です。潤腸“丸”に麻子仁丸をあわせたような漢方薬です。潤腸湯は字の通り腸を潤す漢方薬であり、便がコロコロしたり、普段から乾燥しているご年配の方に向いたお通じの漢方薬です。
便秘でつかわれるものには潤腸湯以外にも大黄甘草湯、麻子仁丸があります。
効能又は効果は?
ツムラの添付文書には「便秘」と記載があります。
何が入っているの?
大黄・当帰・地黄・麻子仁・桃仁・杏仁・枳殻(枳実)・厚朴・黄芩・甘草の10薬から構成されています。
潤腸湯=潤腸丸+杏仁・厚朴・黄芩・甘草・大黄
大黄:瀉下
大黄の成分はセンノシドの名で知られます。瀉下作用があり、便秘のときによく使用されます。
当帰・地黄:滋陰養血
便がコロコロしたり、皮膚・髪・口唇がカサカサしたりしているときは血虚の恐れがあります。枯燥していることで便が排出されにくくなっているため、当帰・地黄にて血分・陰分を滋潤します。
麻子仁・桃仁:潤腸通便
麻子仁・桃仁どちらも“仁”の文字があることからも植物のタネを意味しています。麻子仁は麻の種子、桃仁はモモの種子です。種子はオイルをたくさん含んでおり、腸を潤し、便通を改善します。
杏仁:宣肺
杏仁はアンズの種子であり、麻子仁・桃仁と同じく、オイルを豊富に含み、潤腸通便します。さらに杏仁は宣肺する作用があり、肺気を巡らせます。五臓六腑の関係から肺と大腸は表裏の関係にあり、肺気は巡ることで大腸の気も巡るようになります。
枳殻(枳実)・厚朴:理気除満
枳殻(枳実)・厚朴の組み合わせは大承気湯にも入っており、厚朴にて下気除満し、枳実の破気作用にて排便を助けます。
黄芩:清熱
黄芩にてこもっている熱を清熱します。黄芩は肺経に入る薬であり、肺の裏の大腸にも働きます。
効果のまとめ
潤腸湯は潤しながら便通を改善する漢方薬です。大黄にて瀉下、当帰・地黄にて陰分・血分を潤し、腸の乾きを防ぎ、便通を改善します。麻子仁・桃仁・杏仁の種子のオイルによって潤腸通便し、さらに腸を潤します。便がコロコロ、ご年配の方の乾きによる便秘には潤腸湯が適しています。
便秘で使われるほかの漢方薬との違いは?
便秘でつかわれる漢方薬に大黄甘草湯、麻子仁丸、潤腸湯があります。
大黄甘草湯
大黄甘草湯は大黄と甘草の2薬から構成されています。大黄の瀉下作用と甘草の甘味にて脱水を防ぎます。一時的な便秘であれば大黄甘草湯がオススメです。
麻子仁丸
麻子仁丸は瀉下作用の大黄に、厚朴・枳実の理気除満にては便を助け、麻子仁・杏仁にて潤腸通便し、芍薬にて筋肉の緊張と平じます。大黄甘草湯を強化し、腸を潤す作用もあります。市販で手に入るなかでは瀉下作用もあり、潤す作用もしっかりあるため、コロコロした便にはこちらが適しています。
潤腸湯
潤腸湯=麻子仁丸―芍薬+当帰・地黄・桃仁・黄芩・甘草
上の構成からも潤腸湯は麻子仁丸よりも腸を潤す生薬が増えていることがわかります。残念なことに潤腸湯は市販はありませんでした。
大黄甘草湯<麻子仁丸<潤腸湯という順番で瀉下作用、潤腸作用が強くなります。
処方箋でもらう薬とドラッグストアで売っている薬はどう違うの?
処方箋でもらうときツムラが多いので、ツムラにはどれくらい生薬が入っているか調べてみました。
ツムラ50 7.5g(3包)中には、、、
日局ジオウ 6.0g
日局トウキ 3.0g
日局オウゴン 2.0g
日局キジツ 2.0g
日局キョウニン 2.0g
日局コウボク 2.0g
日局ダイオウ 2.0g
日局トウニン 2.0g
日局マシニン 2.0g
日局カンゾウ 1.5g
ドラッグストアで購入できるものとの違いは?
ドラッグストアで売られている市販のものにはどれくらい生薬が入っているか調べてみましたが、市販にはないようです。
コロコロした便、乾燥した便秘には潤腸湯