冷えで痛む痛み、関節痛にはどんな漢方薬がいいの?

桂枝加朮附湯

関節の痛みがある方に使用される漢方薬です。江戸時代の吉益東洞が考案した処方です。こちらを解説します。

三叉神経痛や帯状疱疹後の神経痛にも使用されます。

骨粗鬆症の疼痛を軽減するだけでなく、骨量の減少を予防したという研究もあります。

https://ci.nii.ac.jp/naid/130004239123

目次

効能又は効果は?

ツムラの添付文書には「関節痛、神経痛」と記載されています。

痛みのなかでも冷えによってより悪化する痛み、温めると緩和される痛みに使用されます。

何がはいっているの?

桂枝湯に蒼朮と附子が加わった漢方薬です。桂枝加朮附湯のが蒼子を表しています。

桂枝加朮附湯=桂枝湯(桂枝、芍薬、甘草、生姜、大棗)+蒼朮附子

桂枝湯はこちらの記事を参考にしてください。今回は蒼朮と附子について説明します。

蒼朮:水の代謝異常を改善

蒼朮はキク科ホソバオケラの根茎とされていますが、似た仲間の白朮と交配が進んだこともあり、純粋な蒼朮は手に入りにくくなっています。蒼朮が四肢痛に、胃腸障害には白朮が効果があるとされていましたが、ここではほぼ同じものとして扱っていきます。実際にいくつかの漢方薬では原典では白朮であっても、実際の商品には蒼朮になっていることもあります。蒼朮は利水作用のある生薬で水の代謝異常を改善します。

附子:体の裏から温める

附子とはキンポウゲ科ハナトリカブト、オクトリカブトの塊茎です。トリカブトというと毒のイメージがありますが、医薬品で使用される場合は無毒化処理されています。さらに日本薬局方の附子の規定では成分含有量の上限値が設定されており、安全性が確保されています。附子は心と腎の陽気を補い、身体を裏から温め、手足の冷えを緩和します。

効果のまとめ

桂枝湯に水の代謝異常、四肢痛を緩和する蒼朮、身体を裏から温め、冷えによる痛みを緩和する附子を配合することで、「関節痛、神経痛」を改善します。

似た漢方薬の薏苡仁湯と比較すると、桂枝加朮附湯には身体を裏から温める附子が配合されているため、冷えによる痛みが強い方に向いています。

似た漢方薬の違い

関節痛などに使用される漢方薬はほかに越婢加朮湯、防已黄耆湯、薏苡仁湯があります。

・越婢加朮湯と桂枝加朮附湯の違い

桂枝加朮附湯を構成している生薬をみると温める生薬ばかりです。冷えによって痛みが増すような痛み、温めることで痛みが和らぐような症状の時は相性がいいです。それに対し越婢加朮湯を構成している生薬をみると全体的には温めるものが多い印象がありますが、注目してほしいのは石膏です!石膏は強力に冷やす作用があります。越婢加朮湯はパッと見では温めるような気がしますが、石膏が入っているため、冷やす漢方薬になります。越婢加朮湯は熱をもった関節の痛みに使用されます。関節痛に使用される漢方薬ですが、温めるものと冷やすもので真逆になるので使用にあたっては注意が必要です。

・防已黄耆湯と桂枝加朮附湯の違い

防已黄耆湯は気を補い、水を巡らせる漢方薬です。よく汗をかき、水太りな傾向で関節が痛むときに使用されます。

・薏苡仁湯と桂枝加朮附湯の違い

薏苡仁湯は一言でいえば湿邪による痛みに使用されます。腫れぼったく、熱感があり、水が溜まってるなどの症状があるときに使用されます。

処方箋でもらう薬とドラッグストアで売っている薬はどう違うの?

処方箋でもらうときツムラが多いので、ツムラにはどれくらい生薬が入っているか調べてみました。

ツムラ18 1日7.5g(3包)中には、、、

日局ケイヒ    4.0g
日局シャクヤク  4.0g
日局ソウジュツ  4.0g
日局タイソウ   4.0g
日局カンゾウ   2.0g
日局ショウキョウ 1.0g
日局ブシ末    0.5g

医療用の漢方のメーカーの違いは?

ツムラ、クラシエ、コタローのなかで桂枝加朮附湯の取扱いがあるのはツムラとコタローでした。配合生薬量をみると、コタローの方がツムラよりもブシの量が倍になっているので温める作用は強いです。

クラシエには桂枝加朮附湯はないのですが、茯苓という利水の生薬を加えた桂枝加“苓”朮附湯の扱いがあります。茯苓が加わることで、関節痛、神経痛にさらにむくみ、めまいなど水が溜まっている症状があるときはクラシエ桂枝加苓朮附湯の方がいいですね。

ドラッグストアで売られているものにはどれくらい生薬が入っているか調べてみました。

ツムラ漢方

こちらは処方箋でもらうツムラではなく、市販で販売しているツムラの商品

2包(3.75g)には医療用の半分の量が配合されています。

JPS(錠剤タイプ)

こちらは錠剤タイプの商品です。粉が苦くて苦手な方にはこちらがオススメです!生薬量も市販ツムラよりもブシの量が倍になっているので、より温める作用は強いです。

クラシエ桂枝加苓朮附湯

桂枝加朮附湯に桂枝加“苓”朮附湯です。茯苓が加わることで、関節痛、神経痛にさらにむくみ、めまいなど水が溜まっている症状があるときはクラシエ桂枝加苓朮附湯の方がいいですね。こちらは粉末タイプと錠剤タイプどちらの商品もあります。赤い箱が錠剤タイプで、粉が苦手な方こちらがいいですね。

冷えで関節の痛みが強くなる方に桂枝加朮附湯です。

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