便秘型の過敏性腸症候群にはどんな漢方薬がいいの?

桂枝加芍薬大黄湯

過敏性腸症候群の症状の便秘に桂枝加芍薬大黄湯がつかわれます。過敏性腸症候群には下痢型、便秘型、混同型がありますが、桂枝加芍薬大黄湯は便秘型につかわれます。下痢型であれば桂枝加芍薬湯が用いられます。

桂枝加芍薬大黄湯は『傷寒論』に記載のある漢方薬です。

『傷寒論』での使い方↓

「本太陽病、医反下之、因爾腹満時痛者、属太陰也、桂枝加芍薬湯主之。大実痛者、桂枝加(芍薬)大黄湯主之」

「太陰為病、脈弱、其人続自便利、設当行大黄、芍薬者、宜減之、以其人胃気弱、易動故也」

太陽病から太陰病になるときです。太陽病なのに間違えて下してしまった。お腹が張り、腹痛するときは太陽から太陰に落ち込んでいます。本来の順伝であれば少陽病から太陰病へ進行するのですが、ここでは誤治のため太陽病から太陰病へ進行しています。太陰病で脾虚であり、脾虚に乗じて肝気が強まり、腹痛が生じています。陽明病のときの腹満は胃・腸の管のなかで大便が実し、大黄にて下します。ここでの腹満は胃・腸の管に実しているものがあるわけではなく、太陰脾の油網という胃管の外にある網膜膏油の中で水と血が停滞して腹痛になっています。芍薬をたくさん使い、水血の滞りを平肝します。このときは桂枝加芍薬湯を使います。構成生薬は桂枝湯と同じですが、芍薬の量が倍になっています。芍薬には拘急しているものを緩和する作用があるので、倍量になっています。肝気の横逆による腹痛ということから、ストレスによる腹痛ともとらえることができるため、現在では過敏性腸症候群に使用されています。

大実痛者、つまり実しているため陽明病も兼ねている状況です。このときは大黄を加えた桂枝加芍薬大黄湯を使います。前述でも説明していますが、太陰病では胃腸の管で大便が実しているわけでないため、大黄は燥屎を直接下すために入っていません。大承気湯では大黄は4両、桂枝加芍薬大黄湯では2両と半分となり、諸薬とともに太陰脾の膏油に入り熱の鬱滞を解きます。こちらは現在では便秘型の過敏性腸症候群に使用されています。次の条文には注意事項が書いてあります。腑陽明実証であるため大黄をつかいますが、太陰病で脾胃が弱っている状態であるため、使い過ぎると下痢が止まらなくなるから加減するようにとあります。

目次

効能又は効果は?

ツムラの添付文書には「比較的体力のない人で、腹部膨満し、腸内の停滞感あるいは腹痛などを伴なうものの次の諸症:(1)急性腸炎、大腸カタル(2)常習便秘、宿便、しぶり腹」と記載があります。

何が入っているの?

桂枝・芍薬・生姜・大棗・甘草・大黄の6薬から構成されています。生薬の組み合わせは桂枝湯と同じですが、芍薬の量が倍になっています。

桂枝:温通

桂枝の辛温の生薬にて陽気を走らせる作用があります。

芍薬:平肝

芍薬は収斂する生薬であり、表ベクトルへ走る気を内側に返します。桂枝加芍薬湯の場合は桂枝湯の芍薬を倍にすることで水血の滞りを平らにすることで腹痛を抑えます。

大黄:瀉下

大黄には下す作用があり、瀉下します。

生姜・大棗・甘草:補気

気を補います。

効果のまとめ

桂枝加芍薬大黄湯は便秘型の過敏性腸症候群につかわれます。桂枝湯の芍薬を倍にしてあります。芍薬は収斂と平肝の作用をもった生薬です。倍量になった芍薬によって腹痛を抑え、大黄にて詰まっているものを下します。

ほかの漢方薬との違いは?

過敏性腸症候群で用いられる漢方薬に桂枝加芍薬湯と桂枝加芍薬大黄湯があります。

桂枝加芍薬大黄湯

桂枝加芍薬大黄湯は桂枝加芍薬湯に大黄を加えたものです。大黄は代表的な瀉下薬であり、便秘型の過敏性腸症候群に用いられます。

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桂枝加芍薬湯

桂枝加芍薬湯はしぶり腹、腹痛の症状からも下痢型の過敏性腸症候群によく用いられます。

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処方箋でもらう薬とドラッグストアで売っている薬はどう違うの?

処方箋でもらうときツムラが多いので、ツムラにはどれくらい生薬が入っているか調べてみました。

ツムラ134 7.5g(3包)中には、、、

日局シャクヤク  6.0g
日局ケイヒ    4.0g
日局タイソウ   4.0g
日局カンゾウ   2.0g
日局ダイオウ   2.0g
日局ショウキョウ 1.0g

医療用のメーカーごとの違いは?

ツムラのみの扱いでした。

ドラッグストアで購入できるものとの違いは?

ドラッグストアで売られている市販のものにはどれくらい生薬が入っているか調べてみました。

ツムラの漢方

こちらは医療用の半分の生薬量になっています。

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便秘型の過敏性腸症候群には桂枝加芍薬大黄湯

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