胃のムカムカ、胃酸逆流、食欲不振、にはどんな漢方薬がいいの?

六君子湯

胃の調子悪く、逆流性食道炎、食欲不振、手術後の体調をよくするために使用されることが多い漢方薬です。胃の調子が悪い時の下痢にも使用されます。消化管運動亢進作用、食欲増進作用は解明されており、漢方薬のなかでも効果発現の作用機序がわかっています。

“食欲増進に対する作用

・SSRIを処置し消化管運動障害を惹起したラットに経口投与したところ、5HT2C受容体拮抗作用を介したグレリン分泌促進作用により、摂餌量低下、消化管運動低下及び胃排出遅延が改善された“

SSRIというのがうつで使用されるお薬です。このうつのお薬の副作用で吐き気などの消化器症状がでることが多く、そういった状態でも六君子湯はグレリンという食欲のホルモンを出すことで食事量が減ることはなかったとのことです

目次

効能又は効果は?

ツムラの添付文書には「胃腸の弱いもので、食欲がなく、みぞおちがつかえ、疲れやすく、貧血性で手足が冷えやすいものの次の諸症:胃炎、胃アトニー、胃下垂、消化不良、食欲不振、胃痛、嘔吐」と記載があります。

何が入っているの?

六君子湯には白朮(蒼朮)、人参、茯苓、半夏、陳皮、甘草、生姜、大棗の8つの生薬が配合されています。四君子湯に陳皮と半夏が追加されたものです。

六君子湯=四君子湯+陳皮+半夏

人参:消化吸収の働きをよくする、気を補う

ウコギ科オタネニンジンの根。日常、口にするニンジンはセリ科のニンジンで、漢方で使用されるものと異なります。補気剤といい、強力に気を補う作用があります。四君子湯においては胃腸の働きをよくし、吸収能力を高めます。鎮咳去痰作用もあります。

茯苓:利水作用、健胃作用

サルノコシカケ科マツホドの菌核。利水作用があり、身体の水のバランスを調整してくれます。胃内停水を改善し、胃腸機能を調える作用気を降ろす作用があり、精神安定作用もあります。

白朮:利水作用

ムラの漢方薬には白朮ではなく、蒼朮が入っています。健胃作用があり、胃の調子をよくする作用。利水作用があり、湿を取り除き、水の代謝異常を改善します。人参によって吸収が高まり、浮腫みがでる可能性があります。その浮腫みを予防するためにも配合されています。

陳皮:健胃作用、湿を取り除く

ウンシュウミカンの成熟した果皮。よく見るみかんのことです。胃腸の調子を整える作用と湿を除く作用があります。

半夏:湿を取り除く

サトイモ科カラスビシャクの塊茎。湿邪を取り除く作用があるため吐き気止め(半夏厚朴湯)として使用されることが多いです。六君子湯では脾(胃の働きに関わる臓)の湿を取り除きます。

大棗、生姜、甘草;胃薬

これらの3つは胃薬として配合されています。

効果のまとめ

人参によって消化吸収を高め、大棗、生姜、甘草がそれをサポートします。茯苓、白朮ともに利水作用にて水分の代謝異常を改善し、脾胃を補います。陳皮、半夏で日本に多い、湿邪を取り除き、胃の調子を良くします。

効能効果に胃下垂とあります。中医学では胃下垂は脾の低下だと考えられています。脾の気の低下によって臓器を吊り上げることができなくなってきているからです。六君子湯が補脾剤であるため、効能効果に記載があります。

似た漢方薬との違いは?

・四君子湯と六君子湯の違いは?

六君子湯は四君子湯に陳皮と半夏という湿、水を取り除く作用が追加になったものです。日本は湿度が高く、ジメジメしており、その影響を身体が受けるため、六君子湯を使用されることがほとんどです。胃に水が溜まってチャポチャポとなる、水が多い状態には六君子湯が向いています。それに対し、北京では乾燥しているため六君子湯よりも四君子湯がよく使用されるそうです。

・人参湯と六君子湯の違いは?

人参湯、六君子湯、どちらも下痢で使用されることのある漢方薬です。人参湯には生姜でなく、乾姜が配合されています。乾姜は身体の内側から温める作用が強いです。虚弱で冷えがある方の下痢には人参湯が向いています。

処方箋でもらう薬とドラッグストアで売っている薬はどう違うの?

処方箋でもらうときツムラが多いので、ツムラにはどれくらい生薬が入っているか調べてみました。

ツムラ43 7.5g(3包)中には、、、

日局ソウジュツ  4.0g
日局ニンジン   4.0g
日局ハンゲ    4.0g
日局ブクリョウ  4.0g
日局タイソウ   2.0g
日局チンピ    2.0g
日局カンゾウ   1.0g
日局ショウキョウ 0.5g

医療用漢方薬のメーカーでの違いは?

大手3社(ツムラ、クラシエ、コタロー)で使用されている生薬量について調べてみました。どのメーカーも使用されている生薬の量に違いはありませんでした。

ドラッグストアで購入できるものとの違いは?

ドラッグストアで売られているもの、市販で手に入るものにはどれくらい生薬が入っているか調べてみました。

ツムラの漢方

こちらは市販のツムラです。1日量でみると日局ソウジュツ2.0g、日局タイソウ1.0g、日局ニンジン2.0g、日局チンピ1.0g、日局ハンゲ2.0g、日局カンゾウ0.5g、日局ブクリョウ2.0g、日局ショウキョウ0.25gと医療用の半分の量の生薬になっています。

 クラシエ漢方

市販のクラシエの漢方薬です。こちらも配合生薬は医療用の半分の量になっています。

 ギャクリア

こちらも中身は実は六君子湯が入っています。1日量で見ると配合生薬はこちらも医療用の半分になっています。

 

湿、水の滞りを取り除く効果が四君子湯よりも高く、胃腸の働きが弱く、疲れやすい方に六君子湯

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