鼻水のかぜ、花粉症にはどんな漢方薬がいいの?

小青竜湯

花粉症のときに使用される有名な小青竜湯です。ただ実際には花粉症に対しては西洋の抗ヒスタミン薬がよく効きますし、第一選択薬になっています。それでも鼻水がでるとき、もしくは原典での使用法と同じように鼻水が多い時の風邪に使用されるのが一般的です。

かっこいい名前の漢方薬ですが、小青竜湯の“青竜”とは何を表しているのでしょうか。青竜というのは青い生薬である、麻黄のことを示しています。青竜という文字が入っていれば麻黄が配合されています。「小」青竜湯があるなら、「大」青竜湯もあるの?と気になりませんか。大青竜湯は現在の医療用の漢方薬には存在しませんが、実は『傷寒論』という急性期の病気をまとめた古典には登場します。汗すらもかかず、熱がこもって、胸が苦しくして仕方がないとう重症な方に使用されています。麻黄湯に含まれている麻黄の量を倍にし、より強力に発汗を促す処方となっており、現代ではもう使用されていません。

小青竜湯といえばアレルギー性鼻炎で使用されることが多いですが、五虎湯を併用することでより効果を発揮するという研究もあります↓。

https://ci.nii.ac.jp/naid/10025975131

小青竜湯ではなく、真武湯が効果を発揮した事例もあります。花粉症だから小青竜湯ではなく、状態にあった漢方薬を選ぶ必要がありますね↓。

https://ci.nii.ac.jp/els/contents110004734597.pdf?id=ART0007476690

目次

効能又は効果は?

ツムラの添付文書には「下記疾患における水様の痰、水様鼻汁、鼻閉、くしゃみ、喘鳴、咳嗽、流涙:気管支炎、気管支喘息、鼻炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、感冒」と記載されています。

小青竜湯はもともと「傷寒論」という古典では「発熱や悪寒のある風邪の状態が改善しないときに、水分過剰な体質で、水邪が肺を侵し、咳をするとき」に使用されています。つまり水分が過剰な人の風邪に使用されていた処方です。

何が入っているの?

小青竜湯は麻黄、桂皮、五味子、半夏、乾姜、細辛、芍薬、甘草から構成されています。

この配合から麻黄湯から派生した処方だとわかります。麻黄湯から杏仁を抜き、乾姜、細辛、五味子、芍薬、半夏を加えたものです。

小青竜湯=麻黄湯―杏仁+乾姜、細辛、五味子、芍薬、半夏

麻黄:強い発汗作用

マオウ科の植物の地上茎。強い発汗作用を持ち、桂皮と一緒に使用されることでより強い発汗作用を発揮します。ほかにも交感神経を活性化する作用があるため、咳を抑える作用もあります。利水作用(体の水のバランスを整える)もあり、関節の腫れに使用されることもあります。

桂皮:発汗作用

シナモンの仲間ですね。桂枝茯苓丸など、桂皮の配合された漢方薬を嗅ぐとシナモンいいの香りがします。この桂皮には発汗解表作用気を降ろす作用などがあります。発汗作用があるため、風邪ひいたときに邪を表面から追い出します。気を降ろす作用があるので桂枝茯苓丸にも使用されています。

半夏:吐き気を抑える

サトイモ科カラスビシャクの塊茎。薬性は燥。乾かす作用が強いため、小青竜湯では鼻水などの水分を乾かします。

五味子:咳を抑える

マツブサ科チョウセンゴミシの果実。酸味・苦味・甘味・辛味・鹹(かん)味(塩味)の5つの味があるから五味子といいますが、酸味が強いです。そのためか小青竜湯は少しすっぱいです。肺気虚による咳を抑える作用があります。津液を補い、汗を落ち着かせる作用もあります。

細辛:鎮咳、去痰

ウマノスズクサ科ケイリンサイシンなどの根茎。薬性は辛・温であり、身体を温め、発汗を促す作用があります。肺に作用し、冷えを緩和し、鎮咳去痰作用があります(痰は水性)。

効果のまとめ

麻黄で発汗し、風邪を改善します。利水作用もあるため、水分の代謝を改善します。細辛と組み、より体を温めます。五味子、半夏、細辛によって咳を抑えます。全体的に乾かす作用がある生薬ばかりで構成されていることから水分が多い状態を緩和します。

 似た漢方薬との違い

・苓甘姜味辛夏仁湯と小青竜湯の違い

苓甘姜味辛夏仁湯と小青竜湯との違いと簡単にいれば、麻黄が入っているかどうかです。麻黄がはいっている小青竜湯で動悸などの症状があれば、苓甘姜味辛夏仁湯に切り替えるのがいいでしょう。

処方箋でもらう薬とドラッグストアで売っている薬はどう違うの?

処方箋でもらうときツムラが多いので、ツムラにはどれくらい生薬が入っているか調べてみました。

ツムラ19 9.0g(3包)中には、、、

日局ハンゲ   6.0g
日局カンキョウ 3.0g
日局カンゾウ  3.0g
日局ケイヒ   3.0g
日局ゴミシ   3.0g
日局サイシン  3.0g
日局シャクヤク 3.0g
日局マオウ   3.0g

医療用漢方のメーカーの違い

大手3社で使用されている生薬の量を比較しました。どのメーカーも同じ量で、違いはありませんでした。

ドラッグストアで購入できるものとの違いは?

ドラッグストアで売られているものにはどれくらい生薬が入っているか調べてみました。

ツムラ漢方

1日量でハンゲ3.0g、カンゾウ1.5g、ケイヒ1.5g、ゴミシ1.5g、サイシン1.5g、シャクヤク1.5g、マオウ1.5g、カンキョウ1.5gと医療用と比較し、半分の量になっています。

ツムラ漢方内服液 小青竜湯S

こちらは液体タイプで飲みやすくていいですね。こちらは医療用の漢方と同じ量の生薬が配合されています。

クラシエ 小青竜湯エキス顆粒A

こちらは「エキス増量シリーズ」とあるようには医療用と同じ生薬量が配合されています。

“A”と書いてあるものなので、よく似たパッケージにSⅡシリーズは選ばないようにしてください。

和漢箋(錠剤タイプ)

ロート製薬和漢箋の小青竜湯。こちらは生薬量は半分になってしまいますが、錠剤タイプです!粉が苦手な方はこちら飲みやすくていいですね。

 鼻水が多い風邪、花粉症には小青竜湯です。

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