疎経活血湯
関節痛、腰痛、筋肉痛に使用される疎経活血湯です。関節痛につかわれる漢方薬はいくつかありますが、疎経活血湯は血虚という病態の慢性化による筋肉の痩せ、筋肉のひきつりを伴なっているときに用いられます。疎経活血湯は風邪を追い出すだけでなく、血を補う、瀉と補を兼ねます。
効能又は効果は?
ツムラの添付文書には「関節痛、神経痛、腰痛、筋肉痛」と記載があります。
何が入っているの?
地黄・当帰・芍薬・川芎・桃仁・牛膝・威霊仙・防已・羌活・防風・白芷・蒼朮・陳皮・茯苓・竜胆・甘草の16薬から構成されています。
地黄・当帰・芍薬・川芎:養血
この4薬は四物湯の組み合わせで知られ、養血活血します。疎経活血湯は病態の慢性化によって気血が痩せているため、四物湯にて養血します。
桃仁・牛膝:活血化瘀
桃仁・牛膝は滞っている血をめぐらせる作用があります。血の滞りは痛み、しびれに関与するだけでなく、栄養が行き届かないことによって筋肉の痩せにもつながります。
威霊仙:通絡止痛
威霊仙はベビースターラーメンのように細長い形をしています。辛味が走り、細長い構造からも経絡を走り、止痛に働きます。
防已・防風・白芷・羌活:袪風湿
防已・防風・白芷は袪風に働き、羌活は祛湿に働き、気の流れを阻滞している風湿邪を追い払い、止痛します。
蒼朮・陳皮・茯苓:利水化痰
蒼朮・茯苓にて利水し、陳皮にて化痰します。膝に水が溜まるように、気血水の流れが悪くなることで水が溜まり、痛みに関与するため、それらを去ります。
竜胆:清熱
こもっている熱を清熱します。
効果のまとめ
疎経活血湯は病態が慢性化し、血が不足し、筋肉の痩せ、ひきつりがあるときに、血を補いつつ、風湿邪を追い払うという補と瀉を兼ねた漢方薬です。地黄・当帰・芍薬・川芎にて養血、桃仁・牛膝にて活血化瘀し、血の巡りを改善します。威霊仙にて経絡の流れを通し、防已・防風・白芷・羌活にて風湿邪を追い払います。蒼朮・陳皮・茯苓にて滞っている余分な水を排出します。補と瀉を兼ねた扶正去邪のつかいやすい漢方薬といえます。
関節痛で使われるほかの漢方薬との違いは?
疎経活血湯 風湿痺・血虚
疎経活血湯は、病態が慢性化し、血分の深いところにまで影響を与えたときに使われます。関節痛の原因が水飲・痰湿が時間の経過とともに血の領域に及んだときには血分に対応した漢方薬が必要です。痛み、しびれが慢性化し、気血を養う必要があるときは疎経活血湯です。
桂枝加朮附湯:寒湿痺
桂枝加朮附湯は附子が入っていることからも温める作用が強力です。そのため冷えによる痛みを散寒止痛します。
薏苡仁湯:寒湿痺(湿重)
薏苡仁湯も寒湿痺による関節痛につかわれますが、薏苡仁・蒼朮がつかわれていることからも湿によるものにつかわれます。冷え・湿があれば薏苡仁湯です。
麻杏薏甘湯:風湿
麻杏薏甘湯は薏苡仁湯よりも風に重きを置いています。麻黄が入っているため発汗作用もあります。
越婢加朮湯:裏水・熱
越婢加朮湯も関節リウマチにつかわれますが、桂枝加朮附湯、薏苡仁湯と異なり、冷やす漢方薬です。関節に熱をもっているようであれば石膏にて強く冷やしてくれる越婢加朮湯が向いています。
防已黄耆湯:風水
防已黄耆湯は水飲の停滞による関節痛につかわれます。浮腫みを伴なう関節痛であれば防已黄耆湯です。
処方箋でもらう薬とドラッグストアで売っている薬はどう違うの?
処方箋でもらうときツムラが多いので、ツムラにはどれくらい生薬が入っているか調べてみました。
ツムラ53 7.5g(3包)中には、、、
日局シャクヤク 2.5g
日局ジオウ 2.0g
日局センキュウ 2.0g
日局ソウジュツ 2.0g
日局トウキ 2.0g
日局トウニン 2.0g
日局ブクリョウ 2.0g
日局イレイセン 1.5g
日局キョウカツ 1.5g
日局ゴシツ 1.5g
日局チンピ 1.5g
日局ボウイ 1.5g
日局ボウフウ 1.5g
日局リュウタン 1.5g
日局カンゾウ 1.0g
日局ビャクシ 1.0g
日局ショウキョウ 0.5g
ドラッグストアで購入できるものとの違いは?
ドラッグストアで売られている市販のものにはどれくらい生薬が入っているか調べてみました。
クラシエの漢方
市販のクラシエの漢方薬。医療用の半分の生薬量がつかわれています。錠剤タイプで飲みやすくなっています。クラシエから疎経活血湯はいくつか販売されていますが、どのパッケージも入っている生薬量は同じです。
関節痛、関節が強ばる、膝を曲げると慢性的に痛む方には疎経活血湯