当帰建中湯
当帰建中湯の効能効果は?
ツムラの添付文書には「疲労しやすく、血色のすぐれないものの次の諸症 月経痛、下腹部痛、痔、脱肛の痛み」と記載があります。
当帰建中湯は小建中湯に当帰を加えたものです。
小建中湯というのは桂枝加芍薬湯の加減法の1つです。桂枝によって気を表へ、大量の芍薬をもって裏に返し、内側を固める漢方薬です。
桂枝加芍薬湯に当帰を加えることで血を養う効果をプラスしています。
当帰建中湯=桂枝加芍薬湯+当帰
当帰建中湯は桂枝加芍薬湯の加減方の1つです。建中湯類はほかにも大建中湯、小建中湯、黄耆建中湯などがあります。
当帰建中湯の出典は?
当帰建中湯は『金匱要略』婦人産後病篇に記載のある漢方薬です。
「当帰建中湯、治婦人産後虚羸不足、腹中刺痛不止、吸吸少気、或苦少腹中急、摩痛引腰背、不能食飲。産後一月.日得服四.五剤為善、令人強壮宜。」
金匱要略
産後の虚労病について説明しています。
出産後は必ず気と血が足りない状態になります。
気血の不足、つまり虚労病の状態に近いといえます。
肝血不足から、脾へ影響があり、肝脾不和で腹痛が生じ、腎まで影響がでると腰痛がでます。
産後の虚労病には桂枝加芍薬湯に当帰を足した当帰建中湯を使います。
桂枝加芍薬湯にて虚労病に対応し、出産後の血虚に当帰を加えることで対処しています。
桂枝加芍薬湯の加減法
ここには記載していませんが、大建中湯も”建中”湯です。大建中湯は山椒・乾姜・人参・膠飴の4味から構成され、桂枝加芍薬湯の加減方ではないため、この図に入っていません。
黄耆建中湯
黄耆建中湯は小建中湯に黄耆を加えたものです。
『金匱要略』血痺虚労病篇に記載のある漢方薬です。
「虚労裏急、諸不足、黄耆建中湯主之。」
小建中湯の次に記載があるのが黄耆建中湯です。
小建中湯の条文を踏まえ、さらに“諸不足”と記載があります。
小建中湯の証よりもさらに虚した状態であれば黄耆を加えなさいとなっています。
黄耆建中湯=小建中湯+黄耆
黄耆は補気薬として有名ですが、人参のように気の量を増やすのではなく、三焦に入ることで気を全身に届ける作用を主としています。
当帰建中湯の医療用メーカーの違いは?
大手3社(ツムラ、クラシエ、コタロー)の生薬量を比較してみましたが、扱いがあるのはツムラのみでした。
当帰建中湯の市販薬でおすすめは?
当帰建中湯は市販では「シンワ」というメーカーから販売されています。
シンワの当帰建中湯をさがしてのですが、楽天、アマゾンでは扱いはないようです。
当帰建中湯は煎じ薬が販売されています。
煎じるというのは、煮出して飲む漢方薬です。
エキス顆粒よりも漢方薬本来の味わいを実感でき、おすすめです。