当帰芍薬散
婦人科で更年期や不妊治療、妊活でよく処方される漢方薬です。安胎薬としても知られており、妊娠中に服用することもあります。色白で虚弱な方に適している漢方薬です。血を補い、血流を改善し、浮腫みをとることで効果を発揮します。ツムラの添付文書にも、ラットにおいて排卵誘発作用、更年期障害に対する作用が確認されています。
http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/5200111D1076_1_11/
効能又は効果は?
ツムラの添付文書には「筋肉が一体に軟弱で疲労しやすく、腰脚の冷えやすいものの次の諸症:貧血、倦怠感、更年期障害(頭重、頭痛、めまい、肩こり等)、月経不順、月経困難、不妊症、動悸、慢性腎炎、妊娠中の諸病(浮腫、習慣性流産、痔、腹痛)、脚気、半身不随、心臓弁膜症」と記載があります。
何が入っているの?
当帰芍薬散には当帰、芍薬、川芎、白朮、茯苓、沢瀉の6つの生薬が配合されています。
当帰:補血作用、血流改善
セリ科トウキの根。補血作用があり、血行を促進し、冷えを緩和します。生理不順の方に使用され、妊婦の方には安胎作用があります。
芍薬:鎮痙作用
芍薬は花で有名なシャクヤクの根を使用しています。芍薬には鎮痙作用があり、過剰な平滑筋の収縮を緩和し、お腹の痛み(桂枝加芍薬湯)や足がつった時(芍薬甘草湯)にも使用されます。
川芎:頭痛緩和、血流改善
セリ科の植物センキュウの根茎を湯通ししたものです。気を発散し、風邪による頭痛を治します。また血流を改善するため、生理不順や生理痛などを改善する作用もあり、川芎と当帰が組むことでより効果を発揮します。当帰芍薬散は後者の作用を目的とし、配合されています。葛根湯加川芎辛夷の場合は前者の頭痛のために配合されています。
白朮:利水作用
キク科オケラ、オオバナオケラの根茎。似た仲間の蒼朮と識別が困難であり、作用もほぼ同じためツムラの漢方薬には白朮ではなく、蒼朮が入っています。健胃作用があり、胃の調子をよくする作用。利水作用があり、湿を取り除き、水の代謝異常を改善します。
茯苓:利水作用
サルノコシカケ科マツホドの菌核。利水作用があり、身体の水のバランスを調整してくれます。胃内停水を改善し、胃腸機能を調える作用、気を降ろす作用があり、精神安定作用もあります。
沢瀉:利水作用
オモダカ科サジオモダガの塊茎。除湿、利水作用。気を降ろし、水滞による頭重感、めまい、耳鳴りを利水作用にて改善します。
効果のまとめ
当帰、芍薬で血を補い、当帰、川芎で血の流れをよくします。白朮、茯苓、沢瀉で過剰な水を外にだし、冷え性を改善します。当帰には鎮痙作用があるため、子宮の過剰な収縮を和らげます。若い方だと生理の時に浮腫みやすいこともあり、利水作用の強い当帰芍薬散が若い方に使われることが多いです。色白で虚弱なタイプに使用されることが多いです。
効能効果に脚気、半身不随、心臓弁膜症の記載があるのは、当帰芍薬散に浮腫みをとる作用があるためだと推測されます。
処方箋でもらう薬とドラッグストアで売っている薬はどう違うの?
処方箋でもらうときツムラが多いので、ツムラにはどれくらい生薬が入っているか調べてみました。
ツムラ23 7.5g(3包)中には、、、
日局シャクヤク 4.0g
日局ソウジュツ 4.0g
日局タクシャ 4.0g
日局ブクリョウ 4.0g
日局センキュウ 3.0g
日局トウキ 3.0g
医療用でのメーカーの違いは?
大手3社(ツムラ、クラシエ、コタロー)で使用されている生薬の量を比較してみました。クラシエだけがシャクヤクの量が他のメーカーに比べ1.5倍になっています。
ドラッグストアで購入できるものとの違いは?
ドラッグストアで売られているものにはどれくらい生薬が入っているか調べてみました。
ツムラ漢方
1日量で日局シャクヤク2.0g、日局ブクリョウ2.0g、日局ソウジュツ2.0g、日局センキュウ1.5g、日局タクシャ2.0g、日局トウキ1.5gと医療用の半分の量になっています。
クラシエ 当帰芍薬散
1日量にトウキ末:409mg、センキュウ末:409mg、シャクヤク末:546mg、ブクリョウ末:546mg、ソウジュツ末:546mg、タクシャ末:546mgが入っています。錠剤タイプもあるので、粉が飲みにくい方はこちらがいいですね!