通導散
通導散の効能効果は?
ツムラの添付文書には「比較的体力があり下腹部に圧痛があって便秘しがちなものの次の諸症 月経不順、月経痛、更年期障害、腰痛、便秘、打ち身(打撲)、高血圧の随伴症状(頭痛、めまい、肩こり)」と記載があります。
通導散の特徴は?
瘀血につかわれる代表的な漢方薬が通導散です。
瘀血につかう漢方薬には桃核承気湯がありますが、桃核承気湯よりも血・気に働く生薬の種類が多いです。
山本巌先生は難治性の病や慢性疾患は瘀血が多いということで通導散を応用している疾患が多くあります。
一貫堂医学の森道伯先生も瘀血証体質の方の代表方剤として通導散を頻用していました。
通導散は大承気湯の加味方と捉えることもでき、便秘でない方はお腹は緩くなるため注意が必要です。
通導散は瘀血の代表処方です。血に働く生薬の種類を比べると、通導散には当帰・紅花・蘇木の3種類、桃核承気湯は桃仁のみ。通導散の方が活血に優れているといえます。
通導散には何が入っているの?
通導散は大黄・芒硝・枳殻(枳実)・厚朴・陳皮・当帰・紅花・蘇木・木通・甘草の10薬から構成されています。
通導散=大承気湯+陳皮・木通・当帰・紅花・蘇木・甘草
大黄・芒硝にて瀉熱通便し、腑気を通します。
枳実・厚朴にて破気し、気に働きます。
陳皮にて祛痰。
当帰・紅花・蘇木にて活血養血化瘀し、木通は宣通血脈し、血の滞りを通絡します。
全体として気分・血分のどちらの鬱滞も化瘀する漢方薬となっています。
通導散の薬能を結論的に言うならば、大承気湯で腹堅満、大便不通を治して上衝を下し、これに配するに蘇木、紅花をもつて瘀血を破り、血熱を冷まし、木通で心火を清くして小便を通利させるのである。そして、この強力な薬理作用は、当帰によつて和血をはかり、陳皮によつて峻下に因る胃腸の気を理し、甘草によつて峻剤の正気が緩和されてはじめて攻に偏せず、弱きに堕せずで、完全なのである。
矢数格著『漢方一貫堂医学』
通導散は大承気湯の加減方といえます。瀉下作用があるため、軟便・下痢の方に使うことはできません。
通導散の医療用のメーカーごとの違いは?
大手3社(ツムラ、クラシエ、コタロー)の生薬量を比較してみましたが、扱いがあるのはツムラとコタローのみでした。
どちらのメーカーも生薬量に違いはありませんでした。
通導散の市販薬おすすめは?
通導散は市販では通導散「コタロー」と、ツードーンSという商品があり、通導散「コタロー」の方が生薬量が多く、おすすめです。
通導散「コタロー」には医療用の80%量の生薬がつかわれています。
ツードーンSは医療用の半分の生薬量ですが、錠剤タイプです。粉薬が苦手な方にはこちらがおすすめです。
どちらも取り扱い店舗が少なく、下記の店舗であれば取り寄せが可能です。