薏苡仁湯
薏苡仁湯はヨクイニン湯と読みます。名前が似ていますが、“薏苡仁湯”と“ヨクイニン”は全く異なります。薏苡仁湯は7薬から構成される漢方薬で関節痛や筋肉痛につかわれます。それに対しヨクイニンはいぼ・肌荒れにつかわれます。適応が全く異なるため注意が必要です。
効能又は効果は?
ツムラの添付文書には「関節痛、筋肉痛」と記載があります。
何が入っているの?
薏苡仁・蒼朮・麻黄・桂皮・当帰・芍薬・甘草・の7薬から構成されています。
薏苡仁・蒼朮:祛湿
薏苡仁(よくいにん)には『神農本草経』には筋急拘攣に対する作用が記載されています。薏苡仁・蒼朮、どちらも祛湿の作用があり、関節痛の原因となっている湿を取り除きます。
麻黄・桂皮:散寒温通・行水
麻黄・桂枝、どちらも温める生薬であり、温通することで関節痛を緩和します。節々の痛みがあるインフルエンザに使用される麻黄湯に麻黄・桂皮が入っていることからも関節痛につかわれるのはわかりますね。
当帰・芍薬:養血
当帰・芍薬にて血を養うことで血の巡りも改善します。
効果のまとめ
薏苡仁湯は関節痛に使用されます。薏苡仁・蒼朮にて祛湿し、関節痛の原因となる湿を取り除きます。麻黄・桂皮にて温め、陽気を通します。当帰・芍薬にて血を養い、血の巡りも改善することで薏苡仁湯は関節痛に効果があります。
関節痛・関節リウマチで使われるほかの漢方薬との違いは?
薏苡仁湯:寒湿痺(湿重)
薏苡仁湯も寒湿痺による関節痛につかわれますが、薏苡仁・蒼朮がつかわれていることからも湿によるものにつかわれます。冷え・湿があれば薏苡仁湯です。
疎経活血湯 風湿痺・血虚
疎経活血湯は、病態が慢性化し、血分の深いところにまで影響を与えたときに使われます。関節痛の原因が水飲・痰湿が時間の経過とともに血の領域に及んだときには血分に対応した漢方薬が必要です。痛み、しびれが慢性化し、気血を養う必要があるときは疎経活血湯です。
桂枝加朮附湯:寒湿痺
桂枝加朮附湯は附子が入っていることからも温める作用が強力です。そのため冷えによる痛みを散寒止痛します。
麻杏薏甘湯:風湿
麻杏薏甘湯は薏苡仁湯よりも風に重きを置いています。麻黄が入っているため発汗作用もあります。
越婢加朮湯:裏水・熱
越婢加朮湯も関節リウマチにつかわれますが、桂枝加朮附湯、薏苡仁湯と異なり、冷やす漢方薬です。関節に熱をもっているようであれば石膏にて強く冷やしてくれる越婢加朮湯が向いています。
防已黄耆湯:風水
防已黄耆湯は水飲の停滞による関節痛につかわれます。浮腫みを伴なう関節痛であれば防已黄耆湯です。
処方箋でもらう薬とドラッグストアで売っている薬はどう違うの?
処方箋でもらうときツムラが多いので、ツムラにはどれくらい生薬が入っているか調べてみました。
ツムラ52 7.5g(3包)中には、、、
日局ヨクイニン 8.0g
日局ソウジュツ 4.0g
日局トウキ 4.0g
日局マオウ 4.0g
日局ケイヒ 3.0g
日局シャクヤク 3.0g
日局カンゾウ 2.0g
医療用のメーカーごとの違いは?
大手2社(ツムラ、クラシエ)の生薬量を比較してみました。ツムラは蒼朮がつかわれ、クラシエでは白朮が使用されいる程度でほかの生薬に違いはありませんでした。
ドラッグストアで購入できるものとの違いは?
ドラッグストアで売られている市販のものにはどれくらい生薬が入っているか調べてみました。
クラシエの漢方
市販のクラシエの漢方薬。医療用の半分の生薬量がつかわれています。
関節痛、筋肉痛には薏苡仁湯