抑肝散
不眠、イライラ、精神不安に使用される抑肝散です。認知症の方のイライラなどの周辺症状を抑えるためによく用いられます。もともとは子供の夜泣きにつかわれていた漢方薬です。認知症に関係なく、不眠、イライラ、精神不安があればつかえる漢方薬です。抑肝散に陳皮・半夏の胃薬が追加になったものが抑肝散加陳皮半夏です。
- 抗不安様作用(正常マウスに経口投与したところ、高架式十字迷路実験において抗不安様作用を示した。)
- 攻撃性抑制作用(アミロイド前駆体蛋白過剰発現マウス、アミロイドβ蛋白脳室内注入マウス(経口)及び亜鉛欠乏マウス(飲水)に投与したところ、攻撃性が抑制された。)
- 睡眠障害改善作用(隔離ストレスマウスに経口投与したところ、ペントバルビタール誘発睡眠時間の短縮が抑制された。)
効能又は効果は?
ツムラの添付文書には「虚弱な体質で神経がたかぶるものの次の諸症:神経症、不眠症、小児夜なき、小児疳症」と記載があります。
何が入っているの?
釣藤鈎・柴胡・当帰・川芎・白朮・茯苓・甘草の7薬から構成されています。
釣藤鈎:熄風
釣藤鈎は急迫的なイライラ、痙攣の症状があるときの重要な生薬です。急に生じるイライラ・不安は内風といわれ、風をいなします。
柴胡:疏肝解鬱
柴胡にて鬱滞している気を条達します。日本においては疎肝といえば柴胡が代表生薬となっています。イライラや精神症状を緩和します。
当帰・川芎:養血行気
当帰・血を養う生薬です。肝血が不足していると、イライラ・不安の肝風を生じやすくなります。当帰にて養血し、肝血を補い、内風を予防します。川芎は血中の気薬ともいわれ、血の巡りと気の巡りを改善します。
白朮・茯苓・甘草:健脾
白朮・茯苓・甘草の健脾作用にて気血をつくりやすくする土台を固めます。白朮・茯苓は利水作用があり、水飲の上逆がめまい、イライラ・不安に関連することも多いため、それを防ぎます。
効果のまとめ
抑肝散は不眠、イライラ、精神不安に幅広くつかわれる漢方薬です。イライラ、不安の急迫的な症状を釣藤鈎で防ぎ、柴胡いて疏肝解鬱。当帰・川芎にて血を養うことで肝血を養い、肝風が動じるのを予防します。白朮・茯苓・甘草にて利水と健脾を兼ねます。
ほかの漢方薬との違いは?
イライラ・不安で用いられる代表的な漢方薬に抑肝散、柴胡加竜骨牡蛎湯、加味逍遙散があげられます。それらの違いについて説明します。
抑肝散(加陳皮半夏)
イライラ・精神不安の代表方剤です。釣藤鈎にて熄風し、柴胡にて疎肝します。
柴胡加竜骨牡蛎湯
柴胡加竜骨牡蛎湯には疎肝の柴胡と竜骨・牡蛎にて気を鎮めます。気を降ろす生薬数を考えると柴胡加竜骨牡蛎湯の多く、イライラ、不眠の症状が強ければ抑肝散よりも柴胡加竜骨牡蛎湯の方がオススメです。
加味逍遙散
加味逍遙散はイライラのときの漢方薬のなかで一番多く血分に配慮した構成になっています。そのため更年期のときの代表方剤として加味逍遙散がよく使用されます。
処方箋でもらう薬とドラッグストアで売っている薬はどう違うの?
処方箋でもらうときツムラが多いので、ツムラにはどれくらい生薬が入っているか調べてみました。
ツムラ54 7.5g(3包)中には、、、
日局ソウジュツ 4.0g
日局ブクリョウ 4.0g
日局センキュウ 3.0g
日局チョウトウコウ 3.0g
日局トウキ 3.0g
日局サイコ 2.0g
日局カンゾウ 1.5g
医療用のメーカーごとの違いは?
抑肝散はツムラのみの扱いでした。抑肝散加陳皮半夏であればツムラ、クラシエ、コタローで取り扱いはありました。
ドラッグストアで購入できるものとの違いは?
ドラッグストアで売られている市販のものにはどれくらい生薬が入っているか調べてみました。
PHARMA CHOICE
Amazon限定の商品です。錠剤タイプになっており、粉が苦手な方にもオススメです。医療用の20分の11の生薬量がつかわれています。
薬王抑肝散エキス錠
こちらは錠剤タイプになっており、粉が苦手な方にオススメです。商品説明に“歯ぎしりの治療法といえば、マウスピースなどが一般的ですが、「薬王抑肝散エキス錠」は服用することで、ストレスや疲れがたまった精神状態に働きかけて興奮を抑え、筋肉の緊張をゆるめて歯ぎしりを改善します。”とあります。
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