日本で鬱金(うこん)といわれるものは中国では姜黄といわれます。反対に中国で鬱金といわれるものは日本では川玉金といい、本を読む際にどちらの意味でつかっているのか注意が必要です。
つまり川玉金はいわゆる鮮やかな黄色味を帯びた鬱金のことではなく、褐色を帯びた鬱金です。川玉金は解鬱の働きから「痘疹世医心方」の牛黄清心丸につかわれています(調べたところ市販の牛黄清心丸には入っていないようです)。
「葉天士解本草」は“主積血。破瘀血”とあることからも瘀血を破る作用が強いことがわかります。
名称 | 日本 | 中国 |
根茎(黄色) | 鬱金 | 姜黄 |
塊根(褐色) | 川玉金 | 鬱金 |
ここでは日本では一般的に川玉金といわれるものについて説明します。
姜黄と川玉金の違いは寒性・温性かの違いと、色の違いがあります。
姜黄は温性で川玉金は寒性の生薬で寒熱が反対です。わかりやすく言えばのぼせている、熱がこもっているタイプには姜黄は向きません。川玉金にて涼血する方が適しています。
冷えと気滞血瘀があれば姜黄(鬱金)が向いています。
色味からも性質の違いをうかがうことができます。姜黄、いわゆる日本での一般的に鬱金は鮮やかな黄色を帯びています。黄色味からも姜黄は脾の色で、気分にも働く性質があります。川玉金は黄色から黒味を帯びた褐色となり、血の色をしています。川玉金の方が血分に入り、葉天士も川玉金(中国では鬱金と記載)の方が効力が激しいとしています。『中医臨床のための中薬学』でも姜黄の帰経は脾・肝、川玉金の帰経は心・肺・肝・胆と働く深さの違いを感じます。
姜黄、川玉金、我朮(紫うこん)は胆汁分泌作用があり、中国の肝疾患に関する本には加減法によく記載されています。
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現代中医学
気味:辛・苦 寒
帰経:心・肺・肝・胆
効能:活血止痛,行気解鬱,清心凉血,利胆退黄の効能から胸脇刺痛、胸痹心痛、閉経、経痛、乳房脹痛、熱病神昏、癲癇、血熱吐衄、黄疸赤尿に応用される。
古典
気味:辛・苦 寒<葉天士解本草>
帰経:腎・小腸・肺・心<葉天士解本草>
川玉金
“気寒。味辛苦。無毒。主血積。下気。生肌止血。破悪血。血淋尿血。金瘡。”
“鬱金気寒。稟天冬令之水気。入足少陰腎経、手太陽寒水小腸経。味辛苦無毒。得地金火之二味。入太陰肺経、手少陰心経。気味降多於升。陰也。
心主血。肺主気。味苦破血。気寒降気。所以主血積下気也。
瘡口熱則腐爛血流。苦寒之品。為末治外。能生肌止血也。
破悪血者。即味苦破血積之功。
其主血淋尿血者。則入小腸苦寒清血之力也。
以其生肌止血。所以又主金瘡。”
気寒。味辛苦。無毒。
鬱金気寒。稟天冬令之水気。入足少陰腎経、手太陽寒水小腸経。味辛苦無毒。得地金火之二味。入太陰肺経、手少陰心経。気味降多於升。陰也。
主血積。
心主血。肺主気。味苦破血。気寒降気。所以主血積下気也。
生肌止血。
瘡口熱則腐爛血流。苦寒之品。為末治外。能生肌止血也。
破悪血。
破悪血者。即味苦破血積之功。
血淋尿血。
其主血淋尿血者。則入小腸苦寒清血之力也。
金瘡。
以其生肌止血。所以又主金瘡。