防風通聖散
お腹の脂肪を落として肥満症を改善する医薬品としてつかわれています。実際マウスにおいて体重および内臓脂肪の減少が確認されています。18種類の生薬がはいっており、簡単に説明すると利尿剤と下剤が合わさったような漢方薬です。
森道伯先生の一貫堂医学において防風通聖散は臓毒証体質の薬として頻用されていました。
効能又は効果は?
ロート製薬の添付文書には「体力充実して、腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちなものの次の諸症:高血圧や肥満に伴う動悸・肩こり・のぼせ・むくみ・便秘、蓄膿症(副鼻腔炎)、湿疹・皮膚炎、ふきでもの(にきび)、肥満症」と記載があります。
何が入っているの?
防風・荊芥・連翹・麻黄・薄荷・川芎・当帰・芍薬・白朮・山梔子・大黄・芒硝・石膏・黄芩・桔梗・甘草・滑石の18薬から構成されています。
水に働く生薬(麻黄・白朮・山梔子・石膏・滑石)、瀉下に働く生薬(大黄・芒硝)、風熱を発散する生薬(防風・荊芥・連翹・薄荷・黄芩・桔梗)、補う漢方薬(川芎・当帰・芍薬・甘草)にわけて解説します。
水に働く生薬(麻黄・石膏・白朮・山梔子・滑石)
麻黄・石膏の組み合わせは清熱と利水を兼ね、麻杏甘石湯でもみられます。白朮は利水健脾し、補脾も作用します。山梔子・滑石にて湿熱を尿へ引っ張ってきます。
瀉下に働く生薬(大黄・芒硝)
大黄と芒硝の組み合わせでお腹詰まっている邪を便からして排出します。
風熱を発散する生薬(防風・荊芥・連翹・薄荷・黄芩・桔梗)
身体の表面にある熱を発散します。荊芥・防風・連翹はにきびにつかわれる荊芥連翹湯にもはいっており、防風通聖散も“蓄膿症・湿疹・皮膚炎・ふきでもの(にきび)”に効能効果があります。
補う生薬(川芎・当帰・芍薬・甘草)
利水や瀉下に働き、正気を傷つける恐れがあるため川芎・当帰・芍薬にて養血し、甘草にて気を補います。
効果のまとめ
麻黄・白朮・山梔子・石膏・滑石が利水に働き、余分な水を取り除きます。大黄・芒硝にてお腹に詰まっている便を排出します。防風・荊芥・連翹・薄荷・黄芩・桔梗にて風熱を発散します。川芎・当帰・芍薬・甘草にて気血を養います。総じて利尿剤と瀉下剤をあわせたような構成になっています。
矢数格著『漢方一貫堂医学』において防風通聖散は以下のように説明してあります。
“防風、麻黄は開表の剤で、風熱の皮膚に在るものは汗によつてこれを排泄する。
薄荷、荊芥は清涼剤で、風熱が頭部に上衝するものを能く除く。
大黄、芒硝は風熱腸胃に入つて実なるものを肛門より通じて出す。
滑石、山梔子は利水剤で、小便より毒を排除する。
桔梗、黄芩、石膏は風熱が胸部に入つて肺を病み、また胃の病になるときこれを除く。
連翹、黄芩は諸経絡に入つた遊熱を冷ます。
当帰、川芎、芍薬は風邪に因り病を起こしたときは、肝木に関係するから肝血を和らぎ補う。
甘草、白朮は脾胃を補う。
以上によつて、防風通聖散は、皮膚、肛門、腎臓の三排泄部より三焦の実熱を駆逐することが理解されるであろう。“
“調胃承気湯は中焦の実熱を下し、同方に連翹、梔子、黄芩、薄荷葉を加えて上焦(膈上)ならびに中焦を清涼するのが涼膈散であり、さらに加味して、上、中、下三焦の実熱の消散を図つたのが防風通聖散である。”
防風通聖散の副作用は?
大黄・芒硝がはいっていることからお腹に詰まっている便を排出します。普段から便秘がちであれば体質にあっていますが、反対に言えば下痢になりやすいです。普段から軟便傾向の方には不向きです。そんな方には防風通聖散よりも防已黄耆湯が向いているかもしれません。
ほかの漢方薬との違いは?
“余分な脂肪を分解・燃焼”とうたっているコッコアポの3種類の違いを説明します。
コッコアポEX(防風通聖散)
防風通聖散は利尿剤と下剤を合わせたような漢方薬であり、食べすぎでため込んだ脂肪の方には向いています。
コッコアポG(大柴胡湯)
大柴胡湯はストレス太りの方に向いています。こちらも大黄という瀉下薬がはいっているため、ストレスと便秘がある方に向いています。
コッコアポL(防已黄耆湯)
防已黄耆湯は防風通聖散と反対に便秘でない方に向いています。お腹を緩くする生薬は入っておらず、防已・白朮にて余分な水を取り除いてくれます。
ドラッグストアで購入できるものでの違いは?
ナイシトールZa
こちらは満量処方となっており、医療用でつかわれる生薬量と同じになっています!生薬量で選ぶならこれです。
ロート製薬防風通聖散
こちらは満量処方となっており、医療用でつかわれる生薬量と同じになっています!生薬量で選ぶならこれです。
コッコアポEX
こちらも中身は防風通聖散になっています。生薬量はナイシトールZaやロート製薬のものと比べると3/5の量になっています。服用するにあたって心配であればこちらでもいいかもしれません。
つい食べ過ぎるため込み脂肪に防風通聖散です。