ささいなことが気になる方の神経質、神経症、不眠症にはどんな漢方薬がいいの?【桂枝加竜骨牡蛎湯】

イライラ、不安神経症などの精神症状でよく使用される漢方薬です。気を鎮める漢方薬であり、不眠にもつかわれます。

もともとは『金匱要略』虚労病に記載のある漢方薬です。

『金匱要略』での使われ方↓

「脈得諸芤動微緊、男子失精、女子夢交、桂枝竜骨牡蛎湯主之。」

虚労にて気を身体の中にとどめることができないときにつかわれています。虚労をあらわす脈の1つに芤脈があります。芤脈というのは一見、脈がしっかりあるように感じるが按じてみると中が空虚な脈のことです。よくネギに例えられます。ネギは筒状になっており、形はあるものの中は空っぽです。芤脈は脈中の津血が不足していることを反映しています。芤動は陽であり、微緊は陰であり、それらの脈がでたり、でなかったりします。陰陽両虚と心腎不交から精を固摂することができず男性は失精(遺精のこと)、女性は夢の中で交わる夢をみます。陰陽両虚による固摂ができないときは桂枝加竜骨牡蛎湯をつかいます。

目次

効能又は効果は?

コタローの添付文書には「神経症状があり、頭痛、のぼせ、耳鳴りなどを伴って疲労しやすく、臍部周辺に動悸を自覚して排尿回数、尿量ともに増加するもの。神経衰弱、心悸亢進、性的ノイローゼ、陰萎、小児夜尿症、夜驚症、脱毛症。」と記載があります。

何が入っているの?

桂皮・芍薬・生姜・大棗・甘草・竜骨・牡蛎の7薬から構成されています。

桂枝加竜骨牡蛎湯=桂枝湯+竜骨・牡蛎

桂皮・芍薬・生姜・大棗・甘草:営衛の調和

桂皮・芍薬・生姜・大棗・甘草は桂枝湯の組み合わせであり、営衛を調和する漢方薬といわれます。桂枝が表ベクトルへ働き、芍薬が内側へ返す作用があり、営衛を和します。人参の気を補う生薬をつかわずとも、営衛を和せば気血はもとある場所へ帰ります。

竜骨・牡蛎:重鎮安神・定驚

竜骨・牡蠣はどちらも重たく正気を収斂する作用があり、高ぶっている気を下へ落ち着け、心腎を交流させます。

効果のまとめ

桂枝加竜骨牡蛎湯は桂枝湯と竜骨・牡蠣の組み合わせです。桂枝湯で営衛を調和し、結果的に気血を養う土台をつくります。竜骨・牡蛎にて気を鎮め、イライラ、神経症の症状を鎮めます。

ほかの漢方薬との違いは?

桂枝加竜骨牡蛎湯は不眠症、うつ、イライラ、不安感につかわれることが多く、そのときに使われるほかの漢方薬についても解説します。

桂枝加竜骨牡蛎湯

桂枝加竜骨牡蛎湯は桂枝湯と竜骨・牡蠣の組み合わせです。桂枝湯で営衛を調和し、結果的に気血を養う土台をつくります。竜骨・牡蛎にて気を鎮め、イライラ、神経症の症状を鎮めます。柴胡加竜骨牡蛎湯ほどイライラの症状は強くなく、虚弱さがあれば桂枝加竜骨牡蛎湯です。

柴胡加竜骨牡蛎湯

柴胡加竜骨牡蛎湯は“ストレスや不安で眠れない方”に使用されます。柴胡は疎肝に働き、竜骨・牡蛎にて気を下に降ろします。柴胡が入っているため、“ストレス”と書いてありますが、入っている生薬の中で気に働くといえるのは柴胡のみで、竜骨・牡蛎の重たい薬にて気を鎮めます。

柴胡桂枝乾姜湯

柴胡桂枝乾姜湯も不眠症、パニック障害やうつなどの精神症で用いられることが多く、柴胡加竜骨牡蛎湯とよく似ています。柴胡桂枝乾姜湯に牡蛎ははいっていますが、竜骨は入っておらず、イライラに対する気を鎮める作用がやや弱いのですが、更年期障害にも使用されることからものぼせの症状がみられるときにはこちらの方が向いています。

半夏厚朴湯

半夏厚朴湯もよく使用される漢方薬の1つです。不安神経症などにつかわれます。半夏・厚朴・蘇葉・茯苓・生姜から構成されており、蘇葉・厚朴にて行気開鬱、半夏にて降逆します。半夏厚朴湯には枳実のような破気薬ははいっておらず、気や痰の鬱滞をほぐすことで不安神経症を緩和します。不安神経症の方に半夏厚朴湯です。

処方箋でもらう薬とドラッグストアで売っている薬はどう違うの?

処方箋でもらうときツムラが多いので、ツムラにはどれくらい生薬が入っているか調べてみました。

ツムラ26 7.5g(3包)中には、、、

日局ケイヒ    4.0g
日局シャクヤク  4.0g
日局タイソウ   4.0g
日局ボレイ    3.0g
日局リュウコツ  3.0g
日局カンゾウ   2.0g
日局ショウキョウ 1.5g

医療用のメーカーごとの違いは?

大手3社(ツムラ、クラシエ、コタロー)の生薬量を比較してみました。ツムラのものがショウキョウが0.5g多い程度でほぼ量に違いはありませんでした。

ドラッグストアで購入できるものとの違いは?

ドラッグストアで売られている市販のものにはどれくらい生薬が入っているか調べてみました。

ツムラの漢方

市販用のツムラの漢方薬です。医療用でつかわれる量の半分になっています。

 

クラシエの漢方

クラシエも同じく医療の半分の生薬量です。クラシエからは顆粒タイプだけでなく、錠剤タイプもあるので粉が苦手な方にはおすすめです。

ささいなことが気になる方の神経質、神経症、不眠症には桂枝加竜骨牡蛎湯

 

 

 

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