猪苓湯合四物湯
出血性の膀胱炎の方によく処方される漢方薬です。
効能又は効果は?
ツムラの添付文書には「皮膚が枯燥し、色つやの悪い体質で胃腸障害のない人の次の諸症:
排尿困難、排尿痛、残尿感、頻尿」と記載があります。
何が入っているの?
猪苓湯合四物湯には猪苓、滑石、沢瀉、茯苓、阿膠、地黄、芍薬、牡丹皮、当帰の9つの生薬が配合されています。名前のとおり、猪苓湯に四物湯が合わさったもの。
猪苓湯合四物湯=猪苓湯+四物湯
猪苓:利水作用
チョレイマイタケの菌核。利水作用にて水の偏在を緩和します。
滑石:利尿作用、清熱作用
ケイ酸アルミニウムを主成分とする軟滑石という鉱物。熱を冷ます作用と利尿作用があります。
沢瀉:利水作用
オモダカ科サジオモダガの塊茎。除湿、利水作用。気を降ろし、水滞による頭重感、めまい、耳鳴りを利水作用にて改善します。
茯苓:利水作用
サルノコシカケ科マツホドの菌核。利水作用があり、身体の水のバランスを調整してくれます。胃内停水を改善し、胃腸機能を調える作用、気を降ろす作用があり、精神安定作用もあります。
阿膠:止血作用
牛のコラーゲン。止血作用が強く、出血がある状態のときによく使用される。
地黄:補血作用
コマノハグサ科のアカヤジオウの根のこと。強い滋潤作用があり、身体の乾きに使われます。血虚の方に補血剤としても使用されます。
芍薬:補血作用
芍薬は花で有名なシャクヤクの根を使用しています。芍薬は鎮痙作用でよく使用されますが、ここでは補血作用の生薬として使用されています。
当帰:補血作用、血流改善
セリ科トウキの根。補血作用があり、血行を促進し、冷えを緩和します。生理不順の方に使用され、妊婦の方には安胎作用があります。
川芎:血流改善
セリ科センキュウの根茎。四物湯では血流を改善するために配合されています。また気を発散し、風邪による頭痛を治すために葛根湯加川芎辛夷に配合されています。
効果のまとめ
猪苓、滑石、沢瀉、茯苓による利水、利尿作用で水をだし、さらに猪苓、滑石、沢瀉で炎症を抑えます。阿膠が配合されていることで出血を抑えます。
膀胱炎で出血を伴うときがあります。出血があるということは細胞組織が弱り、栄養状態が悪いということです。そういった状況を根本的に改善する必要があるため、四物湯が加えられています。
ほかの漢方薬との違い
膀胱炎であまり出血がなければ猪苓湯、出血があれば栄養状態を改善するために四物湯が加わった猪苓湯合四物湯がいいです。
処方箋でもらう薬とドラッグストアで売っている薬はどう違うの?
処方箋でもらうときツムラが多いので、ツムラにはどれくらい生薬が入っているか調べてみました。
ツムラ112 7.5g(3包)中には、、、
日局カッセキ 3.0g
日局ジオウ 3.0g
日局シャクヤク 3.0g
日局センキュウ 3.0g
日局タクシャ 3.0g
日局チョレイ 3.0g
日局トウキ 3.0g
日局ブクリョウ 3.0g
アキョウ 3.0g
ドラッグストアで購入できるものとの違いは?
ドラッグストアで売られているものにはどれくらい生薬が入っているか調べてみました。
調べてみましたが、猪苓湯合四物湯は市販されていませんが、猪苓湯と四物湯を合わせると猪苓湯合四物湯になります。
猪苓湯は市販でも扱いがあるので参考はこちら。