腎の衰えの諸症状(尿の異常、浮腫み、老化、生殖の異常、腰痛、髪などの衰え)にはどんな漢方薬がいいの?

六味丸

腎虚という状態の方に処方される漢方薬です。中医学において腎というのは、腎臓のように水分の排泄を担っているだけでなく、生命エネルギーにも関与しています。腎が衰えてくると(腎虚)、尿の異常、浮腫み、成長、老化、生殖の異常、腰痛、歯、骨、髪などの衰えが現れてきます。そういったときに使用されるのが補腎剤の六味丸です。補腎剤はアンチエイジングの薬という方もいます。

六味丸が補腎剤の基本骨格となり、桂皮、附子が加わり八味地黄丸に、牛膝・車前子が加わり牛車腎気丸になります。ただ実際には最初に八味地黄丸が考案され、そこから余分な生薬を引き算してつくられたのが六味丸になり、六味丸が八味地黄丸の派生ともいえます。

目次

効能又は効果は?

ツムラの添付文書には「疲れやすくて尿量減少または多尿で、時に口渇があるものの次の諸症;排尿困難、頻尿、むくみ、かゆみ」と記載があります。

何が入っているの?

六味丸には地黄、山茱萸、山薬、沢瀉、茯苓、牡丹皮の6つの生薬が配合されています。

地黄:補血、滋潤作用

強い滋潤作用があり、身体の乾きに使われます年齢を重ねると皮膚が乾燥してきます。それは身体の水分を保持する能力が衰えているからです。頻尿も同じ理由です。水を飲んでも吸収されず、すぐに流れていくため頻尿になります。血虚の方に補血剤としても使用されます。

山茱萸:補腎、頻尿改善

ミズキ科サンシュユの果実。肝腎を補い、排尿を調節し、頻尿を改善します。

山薬:補腎作用

ヤマイモの根茎。補脾胃作用があり、胃腸が虚弱な方の消化吸収を高めます。補肺腎作用があり、呼吸器系や泌尿器科の症状を改善します。

沢瀉:利水作用

オモダカ科サジオモダガの塊茎。利水作用。気を降ろし、水滞による頭重感、めまい、耳鳴りを利水作用にて改善します。年齢を重ねると排尿能力が衰えて、むくみが生じます。利水作用にてむくみを改善します。

茯苓:利水作用

サルノコシカケ科マツホドの菌核。利水作用があり、身体の水のバランスを調整してくれます。胃内停水を改善し、胃腸機能を調える作用気を降ろす作用があり、精神安定作用もあります。

牡丹皮:清熱作用

ボタン科ボタンの根皮のこと。こちらの生薬にも血作用と、熱を鎮める清熱作用があります。

効果のまとめ

六味丸に配合されているのは腎の働きをよくするものばかりです。腎の働きをよくすることで身体に水分を保ちやすくします。水がすぐに出ていくのを抑えるため、頻尿を改善、身体の乾燥を防止、乾燥によるかゆみ、口渇を改善します。沢瀉、茯苓の利水作用にて水の偏在を改善し、浮腫みも緩和します。

腎は生命エネルギーをつかさどる部位であるため、腎を補うことで髪に影響を及ぼし、不妊治療に用いられることもあります。ほかにも腎の衰えから来る難聴、耳鳴り、不眠にも使用できます。六味丸はもともと小児の先天不足にも使われていたようです。

他の漢方薬との違いは?

・八味地黄丸と六味丸との違いは?

六味丸に附子、桂皮と身体を温める作用を追加したものが八味地黄丸です(八味地黄丸=六味丸+桂皮+附子)。身体を温める作用がある八味地黄丸は陽虚(温める力が弱っている)の方に、六味丸は陰虚(冷やす力が弱っている)の方に使用されます。腎虚の症状、尿の異常、浮腫み、成長、老化、生殖の異常、腰痛、歯、骨、髪などの衰えに冷えがあれば八味地黄丸です

・牛車腎気丸と六味丸の違いは?

八味地黄丸にさらに牛膝、車前子という利尿剤を追加したものが牛車腎気丸です(牛車腎気丸=六味丸+桂皮+附子+牛膝+車前子)。八味地黄丸に余分な水を取り除く作用をパワーアップさせたものです。利尿作用が強力になっているので水が溜まり、むくみやしびれがある方に適しています。

処方箋でもらう薬とドラッグストアで売っている薬はどう違うの?

処方箋でもらうときツムラが多いので、ツムラにはどれくらい生薬が入っているか調べてみました。

ツムラ87 7.5g(3包)中には、、、

日局ジオウ   5.0g
日局サンシュユ 3.0g
日局サンヤク  3.0g
日局タクシャ  3.0g
日局ブクリョウ 3.0g
日局ボタンピ  3.0g

医療用のメーカーごとの違いは?

医療用の大手3社(ツムラ、クラシエ、コタロー)で使用されている生薬について調べてみました。六味丸はツムラとクラシエからしか販売されておらず、コタローでは販売されていませんでした。ツムラもクラシエも使用している生薬量は変わりありませんでした。

ドラッグストアで購入できるものとの違いは?

ドラッグストアで売られているもの、市販で手に入るものにはどれくらい生薬が入っているか調べてみました。

クラシエ

クラシエの一般用医薬品です。1日量ではジオウ2.5g、サンヤク・サンシュユ・ボタンピ・ブクリョウ・タクシャ各1.5gと医療用のツムラの半分の生薬量が入っています。クラシエでは顆粒タイプと錠剤タイプのどちらも扱いがあります。漢方の粉が苦手な方には錠剤タイプがおすすめです。赤いパッケージものが錠剤タイプになっています。

 ウチダの六味丸

こちらは医療用のツムラよりも地黄が1g多くなっています!さらにウチダは丸剤となっています!丸剤というのは昔の製法通りに生薬を粉にし、それをハチミツで丸めたものです。現在よく使用される漢方薬は生薬を煎じて、そのエキスを顆粒にしています。そのため熱に弱い成分が飛んでしまっています。それに比べ丸剤は生薬を煎じずに、ハチミツで固めているので無駄になる成分がありません!ハチミツで固めていることで胃に優しく、じっくり効くようにもなっており、メリットがたくさんあります。

 

 

腎の衰えのある方、尿の異常、浮腫み、成長、老化、生殖の異常、腰痛、歯、骨、髪などの衰えには六味丸です。

 

 

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