帰脾湯
帰脾湯は気と血を補う漢方薬です。特に脾の気、心の血を補います。気血が不足している方に使用されるため虚弱体質で血色の悪い方に使用されます。心は精神症状をつかさどるため、心の血が不足していると精神症状があらわれます。そのため不眠症、うつ、自律神経の調子が悪い方に使用されます。
効能又は効果は?
ツムラの添付文書には「虚弱体質で血色の悪い人の次の諸症:貧血、不眠症」と記載があります。
何が入っているの?
帰脾湯には竜眼肉、酸棗仁、当帰、遠志、茯苓、人参、黄耆、白朮、木香、大棗、生姜、甘草の12種類の生薬は配合されています。
竜眼肉:精神安定作用
ムクロジ科リュウガンの仮種皮。気血を補い、精神を安定させる。
酸棗仁:精神安定作用
クロウメモドキ科サネブトナツメの種子。精神安定作用があり、精神的な発汗を抑える。
当帰:補血作用、血流改善
セリ科トウキの根。補血作用があり、血行を促進し、冷えを緩和します。生理不順の方に使用され、妊婦の方には安胎作用があります。
遠志:精神安定作用
ヒメハギ科イトヒメハギの根。精神安定作用があり、気を解消し、去痰作用もある。
茯苓:利水作用
サルノコシカケ科マツホドの菌核。利水作用があり、身体の水のバランスを調整してくれます。胃内停水を改善し、胃腸機能を調える作用、気を降ろす作用があり、精神安定作用もあります。
人参:消化吸収の働きをよくする、気を補う
ウコギ科オタネニンジンの根。日常、口にするニンジンはセリ科のニンジンで、漢方で使用されるものと異なります。補脾剤で胃腸からの吸収を良くし、強力に気を補う作用があります。
黄耆:補気剤。利水剤
マメ科キバナオウギの根。補気剤で気が足りていない方に用います。陽気を巡らせ、上昇させます。水を巡らせる作用があるため、浮腫みを緩和します。浮腫みを改善し、汗を止める作用もあります。
白朮:利水作用
キク科オケラ、オオバナオケラの根茎。似た仲間の蒼朮と識別が困難であり、作用もほぼ同じためツムラの漢方薬には白朮ではなく、蒼朮が入っています。健胃作用があり、胃の調子をよくする作用。利水作用があり、湿を取り除き、水の代謝異常を改善します。
木香:気をめぐらす作用
気をめぐらすことで胃腸を温め、消化を助ける作用
大棗、生姜、甘草:胃薬
効果のまとめ
人参、黄耆、白朮、甘草、生姜、大棗で脾を補い、当帰で血を補い、竜眼肉、酸棗仁、遠志で精神安定作用を果たす。
漢方薬の違い
帰脾湯は気と血を補う漢方薬です。似た系統の漢方薬として十全大補湯、人参養栄湯があります。
人参養栄湯は気と血を補い、さらに陽を補う作用があります。
帰脾湯は脾の気と心の血を補う作用が強いため、精神症状がある際に使用します。
人参養栄湯は心の気血、肺脾の気を補うのが特徴となっており、慢性疾患や消耗性疾患の呼吸器症状、動悸などどの精神症状を同時に治療することができます。
加味帰脾湯は帰脾湯に柴胡と山梔子が加わったもの。心、脾の不調にさらに肝の気滞と熱がこもり、いらいら、のぼせを伴うときに使用されます。
処方箋でもらう薬とドラッグストアで売っている薬はどう違うの?
処方箋でもらうときツムラが多いので、ツムラにはどれくらい生薬が入っているか調べてみました。
ツムラ65 7.5g(3包)中には、、、
日局オウギ 3.0g
日局サンソウニン 3.0g
日局ニンジン 3.0g
日局ビャクジュツ 3.0g
日局ブクリョウ 3.0g
日局リュウガンニク 3.0g
日局オンジ 2.0g
日局タイソウ 2.0g
日局トウキ 2.0g
日局カンゾウ 1.0g
日局ショウキョウ 1.0g
日局モッコウ 1.0g
ドラッグストアで購入できるものとの違いは?
ドラッグストアで売られているものにはどれくらい生薬が入っているか調べてみました。
探してみましたが、帰脾湯は市販のものはありませんでした。
よりイライラ、のぼせのある方に対応した加味帰脾湯でしたら販売されているのでそちらをまとめてみました。
クラシエ 加味帰脾湯エキス顆粒
和漢箋(わかんせん) ユクリズム
実は成分は加味帰脾湯です。
食欲がなく、虚弱体質で不眠の方には帰脾湯です。