四君子湯
胃の調子をよくする漢方薬です。四君子湯に陳皮、半夏を追加したものが六君子湯になります。六君子湯の方が有名ですね。四君子湯は補脾剤という胃腸の調子を整える漢方薬の基本骨格となっており、とても重要な処方です。補中益気湯、十全大補湯、半夏白朮天麻湯、清暑益気湯、啓脾湯、帰脾湯、加味帰脾湯なども四君子湯の派生処方です。
効能又は効果は?
ツムラの添付文書には「やせて顔色が悪くて、食欲がなく、つかれやすいものの次の諸症:胃腸虚弱、慢性胃炎、胃のもたれ、嘔吐、下痢」と記載があります。
何が入っているの?
四君子湯には人参、白朮、茯苓、甘草、生姜、大棗の6つの生薬が配合されています。
もともとは人参、白朮、茯苓、甘草の4薬で四君子湯でした。後になって、より胃腸の働きを助けるために生姜と大棗が加わるようになりました。そのため四君子湯という名前ですが、配合生薬は6薬になっています。
人参:消化吸収の働きをよくする、気を補う
ウコギ科オタネニンジンの根。日常、口にするニンジンはセリ科のニンジンで、漢方で使用されるものと異なります。補気剤といい、強力に気を補う作用があります。四君子湯においては胃腸の働きをよくし、吸収能力を高めます。
茯苓:利水作用、健胃作用
サルノコシカケ科マツホドの菌核。利水作用があり、身体の水のバランスを調整してくれます。胃内停水を改善し、胃腸機能を調える作用、気を降ろす作用があり、精神安定作用もあります。
白朮:利水作用
健胃作用があり、胃の調子をよくする作用。利水作用があり、湿を取り除き、水の代謝異常を改善します。人参によって吸収が高まり、浮腫みがでる可能性があります。その浮腫みを予防するためにも配合されています。
大棗、生姜、甘草;胃薬
これらの3つは胃薬として配合されています。
効果のまとめ
人参によって消化吸収を高め、大棗、生姜、甘草がそれをサポートします。茯苓、白朮ともに利水作用にて水分の代謝異常を改善し、脾胃を補います。
似た漢方薬との違いは?
・六君子湯と四君子湯の違いは?
六君子湯は四君子湯にさらに半夏、陳皮が配合されたものです(六君子湯=四君子湯+半夏+陳皮)。半夏、陳皮はともに湿、水の滞りを改善する作用があります。六君子湯は四君子湯よりも脾の湿を取り除く作用が強いです。日本は湿気が多く、湿に侵入されやすいので日本では四君子湯よりも六君子湯がよく使用されます。
・人参湯と四君子湯の違いは?
人参湯と四君子湯も似たような構成になっています。人参湯の乾姜が生姜に代わり、茯苓、大棗が加われば四君子湯になります(四君子湯=人参湯(乾姜→生姜)+茯苓+大棗)。大きな違いは乾姜です。人参湯には乾姜が配合されているため、身体の内側から温める作用が強く、冷えがある方には人参湯が向いています。
処方箋でもらう薬とドラッグストアで売っている薬はどう違うの?
処方箋でもらうときツムラが多いので、ツムラにはどれくらい生薬が入っているか調べてみました。
ツムラ75 7.5g(3包)中には、、、
日局ソウジュツ 4.0g
日局ニンジン 4.0g
日局ブクリョウ 4.0g
日局カンゾウ 1.0g
日局ショウキョウ 1.0g
日局タイソウ 1.0g
医療用メーカーでの違いは?
大手3社(ツムラ、クラシエ、コタロー)で使用されている生薬を調べてみました。その3社のなかで四君子湯を製造しているのはツムラだけでした。ほかにつくっているところはオースギと東洋でした。
ドラッグストアで購入できるものとの違いは?
ドラッグストアで手に入るもの、市販で手に入るものがないか調べてみましたが、売っているものはありませんでした。
四君子湯に半夏・陳皮がはいり、強化されたものが六君子湯といい、そちらは市販でも手に入ります。