生理の不調にはどんな漢方薬がいいの?

温経湯

血を補い、血の巡りをよくし、身体を温め、水を補ってあげる漢方薬です。
不妊治療で使用されることの多い漢方薬です。


実際に以下の研究の報告が記載されています。

  1. 排卵誘発作用

幼若雌ラットに経口投与したところ、30及び31日齢に排卵が認められた。

  1. 性周期に対する作用

ストレス負荷による性周期異常モデルラットに経口投与したところ、膣スメアの観察により性周期が回復した。

  1. 作用機序

本剤は、以下の作用により薬理効果を示すことが示唆されている。

ホルモンに対する作用

(1) 幼若雌ラットに経口投与したところ、下垂体中のLH及びFSHが減少した。

(2) ラットに経口投与したところ、スルピリドによる血中プロラクチン値上昇及びエストラジオール値低下がそれぞれ抑制された。

(3) ラットの下垂体前葉細胞培養系において、LH-RH存在下に培養液中及び細胞内のLH、FSHの濃度を増加させ、プロラクチン分泌を抑制した(in vitro )。

(4) ラット視床下部-下垂体系の連続環流実験において、視床下部-下垂体の連続環流ではLH分泌を亢進し、視床下部のみの環流ではLH-RH分泌を亢進した(in vitro )。

目次

効能又は効果は?

ツムラの添付文書には「手足がほてり、唇がかわくものの次の諸症: 月経不順、月経困難、こしけ、更年期障害、不眠、神経症、湿疹、足腰の冷え、しもやけ」と記載があります。

何が入っているの?

温経湯には当帰、川芎、芍薬、牡丹皮、桂皮、呉茱萸、生姜、半夏、人参、阿膠、麦門冬、甘草の12つの生薬が配合されています。

芍薬:補血作用

芍薬は花で有名なシャクヤクの根を使用しています。芍薬は鎮痙作用でよく使用されますが、ここでは補血作用の生薬として使用されています。

当帰:補血作用、血流改善

セリ科トウキの根。補血作用があり、血行を促進し、冷えを緩和します。生理不順の方に使用され、妊婦の方には安胎作用があります。

川芎:血流改善

セリ科センキュウの根茎。四物湯では血流を改善するために配合されています。また気を発散し、風邪による頭痛を治すために葛根湯加川芎辛夷に配合されています。

牡丹皮:駆瘀血作用

ボタン科ボタンの根皮のこと。こちらの生薬にも血作用と、熱を鎮める、清熱作用があります。牡丹皮、桃仁が組むことでより強力に血を改善します。

桂皮:身体を温める

いわゆるシナモンの仲間発汗解表作用気を降ろす作用などがあります。発汗作用があるため葛根湯などの風邪薬に使われます。

呉茱萸:陽気をめぐらす

ゴシュユの果実。陽気を巡らせ、身体を温め、胃痛、関節痛を緩和します。温補利水にて頭痛を治す作用(呉茱萸湯)もあります。

生姜:身体を温める

生のショウガ。生姜には身体を温める作用、吐き気を抑える作用があります。

半夏:気を降ろす作用

サトイモ科カラスビシャクの塊茎。薬性は燥。乾かす作用が強いため、湿性の咳嗽に有効です。気を降ろす作用があり、吐き気を抑える作用もあります。

人参:消化吸収の働きをよくする、気を補う

ウコギ科オタネニンジンの根。日常、口にするニンジンはセリ科のニンジンで、漢方で使用されるものと異なります。補気剤といい、強力に気を補う作用があります。胃腸の働きをよくし、吸収能力を高めます

阿膠:止血作用

牛のコラーゲン。止血作用が強く、出血がある状態のときによく使用されます。

麦門冬:滋潤作用

ユリ科ジャノヒゲの根。肺を潤し、咳を抑える(麦門冬湯)。肺だけでなく、体内の水を補う、滋潤作用があります。

効果のまとめ

当帰、川芎、芍薬で血を補い、牡丹皮で血の巡りを良くします。人参、生姜、半夏による健胃作用で気を補い、桂皮、呉茱萸、生姜で気の巡りを改善し、身体を温めます。麦門冬、阿膠で身体を潤します。人参が吸収をよくする効果があるため、多少太ったり、浮腫んだりする可能性はあります。当帰芍薬散に比べ、血の巡りをよくする効果、気水を補い、巡らせる作用が強くなっています。温経湯の方が体を温める生薬が多いです。

処方箋でもらう薬とドラッグストアで売っている薬はどう違うの?

処方箋でもらうときツムラが多いので、ツムラにはどれくらい生薬が入っているか調べてみました。

ツムラ106 7.5g(3包)中には、、、

日局バクモンドウ 4.0g
日局ハンゲ    4.0g
日局トウキ    3.0g
日局カンゾウ   2.0g
日局ケイヒ    2.0g
日局シャクヤク  2.0g
日局センキュウ  2.0g
日局ニンジン   2.0g
日局ボタンピ   2.0g
日局ゴシュユ   1.0g
日局ショウキョウ 1.0g
アキョウ     2.0g

ドラッグストアで購入できるものとの違いは?

ドラッグストアで売られているものにはどれくらい生薬が入っているか調べてみました。

和漢箋(わかんせん) ルナフェミンロート温経湯錠

1日量でみると医療用の半分の生薬量です。

JPS 温経湯

1日量だと医療用の半分の生薬量になっています。

 

 

身体の内側から温めると共に血の巡りを整え、月経不順や月経困難などを改善する漢方薬です。

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