延胡索は活血散瘀、理気止痛の働きから心腹腰膝疼痛、打撲、瘀血による痛み、生理不順などに応用されます。
延胡索
気味:辛・苦 温
帰経:肝・脾・心・肺
延胡索の働きとは?
延胡索はケシ科植物の塊茎を乾燥させたもの。
延胡索の働きを一言でまとめると、温めて気血を動かす生薬です。
延胡索は辛・苦の味です。
辛味はよく発散します。
苦味は心の味であり、心は血分です。つまり苦味は血分に入りやすい性質があります。
延胡索の辛・苦から、血分に入り、滞った血を発散する性質があることがわかります。
延胡索は胃薬の安中散のイメージが強いですが、芎帰調血飲第一加減、折衝飲にもつかわれています。
活血散瘀
延胡索は日本では安中散という胃薬に入っている生薬ですが、中国においては活血の生薬としてつかわれることが多いです。
『葉天士解本草』にも延胡索は「破血」「婦人月経不調」と記載があります。
延胡索の入った安中散も日本では胃薬としてつかわれますが、実は生理痛にも応用されています。
安中散、治遠年日近、脾疹醗胃、口吐酸水、寒邪之気留滞、於内停積不消、胸隔脹満、攻刺腹脇、悪心嘔逆、面黄肌痩、四肢倦怠、又治婦人血気刺痛、小腹連腰攻、症重痛並能治之
『和剤局方』
”治婦人血気刺痛”と女性の瘀血よる刺すような痛みにもつかわれています(日本では安中散に生理痛などの適応はありません)。
延胡索が入っている漢方薬はほかにも折衝飲、芎帰調血飲第一加減、膈下逐瘀湯、少腹逐瘀湯などがあります。
婦人の瘀血に対する方剤であり、延胡索は温めながら血を動かす生薬といえます。
理気止痛
延胡索は辛味であり、気を動かし、止痛に働きます。
胃が痛ければ、安中散になりますし、下腹部に痛みがあれば少腹逐瘀湯のようにつかうことができます。
延胡索が入っている漢方薬は?
安中散、折衝飲、芎帰調血飲第一加減、膈下逐瘀湯、少腹逐瘀湯があります。
延胡索が気血をめぐらせて、止痛に働く目的で配合されています。
葉天士解本草
気味:辛 温
帰経:肝・肺
『葉天士解本草』
気温。味辛。無毒。主破血。婦人月経不調。腹中結塊。崩中淋露。産後諸血証。血暈。暴血衝上。因損下血。煮酒或酒磨服。
延胡索気温。稟天春升之木気。入足厥陰肝経。味辛無毒。得地西方之金味。入手太陰肺経。気味倶升。陽也。
辛能散結。温能行血。肝蔵血。故入肝而破血。
肝属木。木性条達。鬱則肝血不蔵。月経不調矣。辛温暢肝。所以調経。
腹為陰。腹中結塊。血結成塊也。辛温散結。温能行血。所以主之。
崩中肝血不蔵而下崩也。淋露下之淋瀝不止也。辛温気味上升条達。肝気暢而肝血蔵。崩淋自止也。
産後諸血証。指悪露未尽之病而言也。辛温破血。所以主之。
血暈。血閉而暈也。其主之者。藉其辛散之功也。
暴血衝上。血挟邪気而上衝也。其主之者。辛温破血之力。然必佐他薬以成功也。
因損下血。血傷而下也。辛温活血。故佐酒則血帰経也。
気温。味辛。無毒。
延胡索気温。稟天春升之木気。入足厥陰肝経。味辛無毒。得地西方之金味。入手太陰肺経。気味倶升。陽也。
主破血。
辛能散結。温能行血。肝蔵血。故入肝而破血。
婦人月経不調。
肝属木。木性条達。鬱則肝血不蔵。月経不調矣。辛温暢肝。所以調経。
腹中結塊。
腹為陰。腹中結塊。血結成塊也。辛温散結。温能行血。所以主之。
崩中淋露。
崩中肝血不蔵而下崩也。淋露下之淋瀝不止也。辛温気味上升条達。肝気暢而肝血蔵。崩淋自止也。
産後諸血証。
産後諸血証。指悪露未尽之病而言也。辛温破血。所以主之。
血暈。
血暈。血閉而暈也。其主之者。藉其辛散之功也。
暴血衝上。
暴血衝上。血挟邪気而上衝也。其主之者。辛温破血之力。然必佐他薬以成功也。
因損下血。煮酒或酒磨服。
因損下血。血傷而下也。辛温活血。故佐酒則血帰経也。