続断(ぞくだん)

続断は寿胎丸、補腎安胎飲の安胎の方剤や三痺湯の関節痛の方剤につかわれます。経絡などを”断”たれたものを接”続”する生薬といえます。

目次

現代中医学

気味:苦・甘・辛 微温

帰経:肝・腎

効能:補肝、強筋骨、定経絡、止筋骨酸痛、安胎、婦人白帯、生新血、破瘀血、落死胎、止咳嗽咳血に応用されます。

古典

気味:苦 微温<神農本草経>

帰経:肝・心<葉天士解本草>

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続断の働きを『神農本草経』と『葉天士解本草』の条文を並列し、考えたいと思います。

『神農本草経』

気微温。味苦。無毒。主傷中。補不足。金瘡癰瘍折跌続筋骨。婦人乳難。久服益気力。

『葉天士解本草』

続断気微温。稟天春升之木気。入足厥陰肝経。味苦無毒。得地南方之火味。入手少陰心経。気升味降。陽也。

肝蔵血。心主血。血者営也。中之守也。血虚則中傷。続断気微温入肝。肝者陽中之少陽。以生気血者也。所以主傷中。

補不足。補肝経之不足也。

金瘡癰瘍。皆傷血之症。気温益血。味苦清心。所以主之。

折趺続筋骨者。気微温能活血。血活則断者続也。

女人血不足則乳難。気温行血。血充乳自多也。

肝者罷極之本。以生血気之蔵也。気微温。達少陽之気。所以益気力也。

 

気微温。味苦。無毒。

続断気微温。稟天春升之木気。入足厥陰肝経。味苦無毒。得地南方之火味。入手少陰心経。気升味降。陽也。

続断は気微温にて春升の木気をうけ、厥陰肝経に入ります。味は苦く、無毒にて南方の火の味で少陰心経に入ります。気は升、味は降の性質です。

主傷中。

肝蔵血。心主血。血者営也。中之守也。血虚則中傷。続断気微温入肝。肝者陽中之少陽。以生気血者也。所以主傷中。

肝は血を蔵し、心は血を主り、血は営であり、内を守っています。血虚の状態は身体の内側が傷ついている状態です。続断は気微温で肝に入ります。肝は陽中の少陽であり、気血を生むところであり、続断は傷中につかうことができます。続断は経絡の痛みである関節痛などに使われています。

補不足。

補不足。補肝経之不足也。

続断は肝経の不足を補います。

金瘡癰瘍

金瘡癰瘍。皆傷血之症。気温益血。味苦清心。所以主之。

金瘡(切り傷)、できものはすべて血分の問題です(心は血をつかさどります)。続断は気温にて血を益し、味苦にて清心し、金瘡、できものにつかうことができます。

折跌続筋骨

折趺続筋骨者。気微温能活血。血活則断者続也。

続断は気微温でよく活血するため、折趺(足の骨折)の流れが途絶えた症状のときに、活血することで途絶えた経絡を接続します。

婦人乳難。

女人血不足則乳難。気温行血。血充乳自多也。

女性の乳難(難産)は血が不足することで起こります。続断の気温にて血がめぐり、血が充ちることで出産につながります。

久服益気力。

肝者罷極之本。以生血気之蔵也。気微温。達少陽之気。所以益気力也。

肝は罷極之本であり、血気を蔵します。続断の微温にて少陽の気を条達し、気力を益します。

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