桃核承気湯
便秘傾向で血の巡りが悪い方によくでる漢方薬です。婦人科で処方されること多いです。便秘がちで、のぼせがあり、生理の時に精神的に調子が悪くなりやすい方向けです。便秘、のぼせ、生理不順の3つが服用のポイントになります。
調べてみると桂枝茯苓丸、桃核承気湯には酸化ストレスをコントロールする効果もあるようです。
“駆瘀血剤をはじめとする漢方薬は,酸化ストレスに対して,抗酸化剤として緩和作用だけではなく,状況に応じて酸化促進剤として血管収縮作用を表す.つまり,酸化ストレスをうまく制御して生体機能の調節作用をするものと考えられる”https://ci.nii.ac.jp/naid/10030987124
漢方を使いこなしている先生はアトピーにも応用している例もあるようです。
https://ci.nii.ac.jp/els/contents110004001120.pdf?id=ART0005781520
効能又は効果は?
ツムラの添付文書には「比較的体力があり、のぼせて便秘しがちなものの次の諸症:月経不順、月経困難症、月経時や産後の精神不安、腰痛、便秘、高血圧の随伴症状(頭痛、めまい、肩こり)」と記載されています。
何が入っているの?
桃核承気湯=桂皮+大黄+芒硝+甘草+桃仁
桂皮:気を降ろす作用
発汗解表作用、気を降ろす作用などがあります。発汗作用があるため葛根湯などの風邪薬に使われますし、気を降ろす作用があるのでこの桃核承気湯にも使用されています。
大黄:便通改善、腹部の気・血・熱を改善
タデ科のRheum palmatum Linneなどの根茎。こちらの生薬にはセンノシドという成分が入っています。センノシドというと聞いたことがあるかもしれません。便秘の時に処方される、腸を刺激することで便通をよくする薬です。大黄には便通を改善する、瀉下作用があります。便通を改善することで腹部に溜まった気、血、熱を排出します。
芒硝:便通改善
硫酸ナトリウムのこと。便を軟らかくし、排便を促す作用があります。便を軟らかくするお薬といえばマグミットなどの酸化マグネシウム、カマグという名前を聞いたことがあると思いますが、それと似たようなものです。大黄はセンノシドで、芒硝が酸化マグネシウムと考えるとわかりやすいでしょうか。
桃仁:駆瘀血作(血の巡りをよくする)
バラ科モモの種子のこと。桃仁には駆瘀血(くおけつ)作用と、種子には油分が多いこともあり、便通をよくする作用もあります。血の鬱滞、血の流れが滞っている状態のことを瘀血といい、その状態を改善することを駆瘀血作用といいます。血の巡りを良くすることで生理不順、生理痛を改善します。
効果のまとめ
効能効果の「のぼせて便秘がちなものの」というのは気が上衝することでほてり、腹部で気、血が鬱滞している状態を指しています。
桂皮によって、上がっている気を下に降ろし、大黄、芒硝にて腹部の鬱滞した気、血を改善します。甘草によって、瀉下作用による脱水を防ぎ、桃仁によって血の巡りをよくすることで、生理不順などの瘀血状態を改善します。
似た漢方薬との違いは?
・桂枝茯苓丸と桃核承気湯の違いは?
駆瘀血剤(血の巡りを改善する薬)としても有名な2剤です。
桂枝茯苓丸と桃核承気湯は似たような処方に見えますが、異なるところが3つあります。桂枝茯苓丸には利水作用のある茯苓が入っているため、冷えやめまいにも効果があります。牡丹皮が配合されているので、血の巡りを良くする作用がより強力になっています。大黄、芒硝がはいっていない便秘には効果がありません。そのため便秘傾向がなく、血と水の巡りを改善したいときは桂枝茯苓丸の方が適しています。
・当帰芍薬散と桃核承気湯の違いは?
当帰芍薬散も女性によく使用される漢方薬です。当帰芍薬散の方がより身体が弱っている方向けになっています。当帰芍薬散は血を補い、同時に浮腫みも改善する薬のため、冷え性で身体が虚弱で浮腫みがある方に向いています。
・通導散
通導散も桃核承気湯も似たような漢方薬です。どちらも強力に血の巡りをよくします。そのため、どちらも体力があり、便秘傾向で血の巡りの悪い方に使用します。飲み分けるなら、通導散の方が木通、陳皮が入っており、血だけでなく、気の巡りもよくする作用があります。
処方箋でもらう薬とドラッグストアで売っている薬はどう違うの?
処方箋でもらうときツムラが多いので、ツムラにはどれくらい生薬が入っているか調べてみました。
ツムラ61 7.5g(3包)中には、、、
日局トウニン 5.0g
日局ケイヒ 4.0g
日局ダイオウ 3.0g
日局カンゾウ 1.5g
日局無水ボウショウ 0.9g
医療用でのメーカーの違いは?
大手3社(ツムラ、クラシエ、コタロー)で使用されている生薬量を調べてみました。クラシエだけがボウショウの量が0.1g多く入っているだけで、メーカー間での大きな違いはありませんでした。
ドラッグストアで購入できるものとの違いは?
ドラッグストアで売られているもの、市販で手に入るものにはどれくらい生薬が入っているか調べてみました。
ツムラ漢方
1日量が日局トウニン2.5g、日局ケイヒ2.0g、日局ダイオウ1.5g、日局カンゾウ0.75g、日局無水ボウショウ0.45gと医療用の半分の量になっています。
クラシエ
トウニン2.5g、ケイヒ2.0g、ダイオウ1.5g、カンゾウ0.75g、乾燥硫酸ナトリウム0.5gと医療用の半分になっています。
市販で手に入るものは医療用の半分の生薬量になっています。
のぼせて便秘がちで生理不順などの悩みがある方は参考にしてください。