排膿散及湯
文字の通り、膿を排出するときにつかう漢方薬です。排膿散及湯は排膿“散”と排膿“湯”という漢方薬を合方したもので、排膿散“及び”湯という名前になっています。
効能又は効果は?
ツムラの添付文書には「患部が発赤、腫脹して疼痛をともなった化膿症、瘍、せつ、面疔、その他せっ腫症」と記載があります。
何が入っているの?
桔梗・枳実・芍薬・生姜・大棗・甘草の6種類です。
排膿散及湯=排膿散(桔梗・枳実・芍薬)+排膿湯(桔梗・生姜・大棗・甘草)
桔梗:排膿消腫
桔梗は排膿の生薬であり、皮膚疾患につかう漢方薬(十味敗毒湯など)も配合されています。
枳実・芍薬:理気平肝
枳実・芍薬は枳実芍薬散の組み合わせで気血の鬱滞を解きます。
生姜・大棗・甘草:補気
身体の内側から気を補うことで、排膿しやすい土台をつくります。
効果のまとめ
排膿消腫の桔梗は主薬となり、枳実・芍薬が排膿を助けます。生姜・大棗・甘草にて気を補い、気血を養う源を養います。
ほかの漢方薬との違いは?
皮膚疾患で使用される漢方薬は排膿散及湯、十味敗毒湯、消風散、黄連解毒湯、当帰飲子があります。
排膿散及湯
排膿散及湯は排膿散(枳実・芍薬・桔梗)と排膿湯(甘草・桔梗・生姜・大棗)をあわせ、排膿に重点をおいた漢方薬です。“患部が発赤、腫脹して疼痛をともなった化膿症、瘍、せつ、面疔、その他せっ腫症”に使用されます。
当帰飲子
当帰飲子は肌の乾燥を伴うかゆみに使用されます。地黄・当帰・芍薬・川芎・何首烏にて血を養うことで肌の乾燥を防ぎます。黄耆は気を肌膚まで巡らせることで傷の治りを改善し、防風・荊芥・蒺藜子によってかゆみの原因となる風を追い出します。乾燥とかゆみの症状があるときは当帰飲子が向いています。
十味敗毒湯
十味敗毒湯は風寒湿をとりのぞく漢方薬です。独活・荊芥にて風寒“湿”を散じ、防風・柴胡・川芎にて風を散じるのを助けます。風と湿を発散する作用が強いため十味敗毒湯は化膿性皮膚疾患、じんましん、急性湿疹に用いられます。
消風散
消風散もよく使用される漢方薬で、名前の通り“風”を消すことに特化した方剤です。ツムラの添付文書にも「分泌物が多く、かゆみの強い慢性の皮膚病(湿疹、蕁麻疹、水虫、あせも、皮膚そう痒症)」とあり、“かゆみが強い”と記載があります。蝉退・防風・荊芥・牛蒡子にて風熱を散じ、当帰・生地黄・知母・苦参・胡麻仁・石膏にてかゆみの原因になっている血の熱をとるとともに、清熱します。
黄連解毒湯
黄連解毒湯は黄連・黄芩・黄柏・山梔子という苦味で清熱の生薬から構成されていることからも赤みが強いときに使われます。清熱の作用が強いため赤みでも鮮やかな赤みです。時間が経過し、くすんだ赤みであれば血のめぐりにも影響しているため別の漢方薬が適当と考えられます。
処方箋でもらう薬とドラッグストアで売っている薬はどう違うの?
処方箋でもらうときツムラが多いので、ツムラにはどれくらい生薬が入っているか調べてみました。
ツムラ122 7.5g(3包)中には、、、
日局キキョウ 4.0g
日局カンゾウ 3.0g
日局キジツ 3.0g
日局シャクヤク 3.0g
日局タイソウ 3.0g
日局ショウキョウ 1.0g
医療用のメーカーごとの違いは?
大手3社(ツムラ、クラシエ、コタロー)の生薬量を比較してみました。排膿散及湯はツムラ、コタローでしか扱いがありませんでした。ツムラでは枳実が3.0gに対し、コタローでは2.0gになっていました。
ドラッグストアで購入できるものとの違いは?
ドラッグストアで売られている市販のものにはどれくらい生薬が入っているか調べてみました。
生葉 漢方錠
こちらは医療用の半分の生薬量です。錠剤タイプになっており、飲みやすくなっています。
歯肉炎、扁桃炎の適応もあります。
化膿性皮膚疾患の初期又は軽いものには排膿散及湯