温清飲
皮膚科でも婦人科でも処方されることのある漢方薬です。瀉火解毒、補血剤。アトピー、湿疹や乾癬によく使用されることもあります。温清飲は四物湯と黄連解毒湯を合わせたものになっており、それぞれの効能を理解していると温清飲の理解が深まります。
効能又は効果は?
ツムラの添付文書には「皮膚の色つやが悪く、のぼせるものに用いる:月経不順、月経困難、血の道症、更年期障害、神経症」と記載があります。
何が入っているの?
地黄、芍薬、当帰、川芎、黄芩、黄柏、黄連、山梔子の8種類です。
温清飲の構成をみると2つの処方から成り立っていることがわかります。温清飲は四物湯と黄連解毒湯を合わせたものなのです。
温清飲=四物湯(地黄、芍薬、当帰、川芎)+黄連解毒湯(黄芩、黄柏、黄連、山梔子)
地黄:補血作用
コマノハグサ科のアカヤジオウの根のこと。強い滋潤作用があり、身体の乾きに使われます。血虚の方に補血剤としても使用されます。
芍薬:補血作用
芍薬は花で有名なシャクヤクの根を使用しています。芍薬は鎮痙作用でよく使用されますが、ここでは補血作用の生薬として使用されています。
当帰:補血作用、血流改善
セリ科トウキの根。補血作用があり、血行を促進し、冷えを緩和します。生理不順の方に使用され、妊婦の方には安胎作用があります。
川芎:血流改善
セリ科センキュウの根茎。温清飲では血流を改善するために配合されています。また気を発散し、風邪による頭痛を治すために葛根湯加川芎辛夷に配合されています。
黄芩:清熱
シソ科コバネバナの根。代表的な清熱剤の1つ。清熱し、湿熱を取り除き、止血する。
黄柏:清熱、消炎作用
ミカン科キハダの樹皮。清熱し、炎症を抑えます。湿布剤として塗布し、打ち身、捻挫等の炎症を抑えるという使い方もされることがあります。
黄連:清熱、抗炎症
キンポウゲ科オウレンの根。清熱作用、炎症を抑える作用があります。瘀血性の炎症性疾患(口内炎、結膜など)、皮膚疾患を抑えます。
山梔子:清熱、抗炎症
アカネ科クチナシの果実。清熱し、炎症を鎮める。
効果のまとめ
地黄、芍薬、当帰、川芎が四物湯で血虚に対応しています。血虚というのは血が不足することで、髪や皮膚に潤いがなくなる、眼精疲労、こむらがえり、顔色がよくないという症状があらわれます。
黄芩、黄柏、黄連、山梔子が黄連解毒湯で全て清熱の生薬となっています。熱性の炎症、湿疹等を緩和します。
四物湯、黄連解毒湯と合わさった温清飲は肌の乾燥とともに、熱性の皮疹を抑えます。
処方箋でもらう薬とドラッグストアで売っている薬はどう違うの?
処方箋でもらうときツムラが多いので、ツムラにはどれくらい生薬が入っているか調べてみました。
ツムラ57 7.5g(3包)中には、、、
日局ジオウ 3.0g
日局シャクヤク 3.0g
日局センキュウ 3.0g
日局トウキ 3.0g
日局オウゴン 1.5g
日局オウバク 1.5g
日局オウレン 1.5g
日局サンシシ 1.5g
医療用のメーカーごとの違いは?
大手3社(ツムラ、クラシエ、コタロー)の生薬量を比較してみました。ツムラ、クラシエは生薬量は同じでしたが、コタローだけ配合量が異なっており、ツムラ、クラシエよりも量が多くなっていました。
ドラッグストアで購入できるものとの違いは?
ドラッグストアで売られている市販のものにはどれくらい生薬が入っているか調べてみました。
ツムラ漢方
こちらは一般用医薬品のツムラです。生薬の1日量では医療用の半分となっています。
クラシエ温清飲
こちらは日量だと医療用のツムラと生薬の比率が若干異なりますが、医療用の5,6割の生薬が使用されています。市販の中では生薬量はかなり多い方です!こちらは錠剤タイプになっており、粉が苦手な方にはオススメです。
JPS 温清飲
こちらは1日量だと医療用のツムラと生薬の比率が若干異なりますが、医療用の5,6割の生薬が使用されています。市販のツムラよりかは若干生薬量が多いです。こちらは錠剤タイプになっており、粉が苦手な方にはオススメです。
皮膚の乾燥があり、熱性の皮疹があるときは温清飲です。