補腎薬

腎は腎陽と腎陰にわかれますが、補腎薬としてみると腎陽を補う薬が多く、ほとんどが温性をもっています。

補腎薬をつかうときは陰虚になっていないか、身体が熱に傾いていないか、きちんと見分ける必要性があります。

 

不妊、安胎に使わる記載がある生薬:

鹿角・紫河車・淫羊藿・巴戟天・肉従蓉・杜仲・続断・莵絲子・蛇床子

インポテンツなどの記載がある生薬:

鹿角・海狗腎・蛤蚧・冬虫夏草・仙茅・淫羊藿・巴戟天・肉従蓉・鎖陽・補骨脂・杜仲・莵絲子・蛇床子・胡芦巴・韮子

腎陰を補う生薬:

亀板・地黄(熟)

肝腎を補う生薬:

枸杞子・旱蓮草・女貞子

妊婦禁忌の記載がある生薬:

海馬

腎陽を補う生薬で不燥のもの:

紫河車・巴戟天・続断・莵絲子・胡芦巴

 



山薬:甘・平。

ヤマイモのこと。参苓白朮散には止瀉薬として入っている。

補腎薬ではあるが、補う!というよりは収斂して固める生薬

鹿茸:甘・鹹・温

シカの角。補腎薬として代表的なもの。真陽を補い、インポテンツ、不妊にも使われることのある生薬

海狗腎:鹹・大熱

アザラシの陰茎。熱性が強い。温性:海狗腎>鹿茸。補益:海狗腎<鹿茸)

蛤蚧:鹹・平 小毒 

ヤモリ。温める作用は強くないが、肺にも入り、慢性に咳にも使わることのある生薬

紫河車:甘・鹹 温 

プラセンタのこと。全体的に薬力は緩和であるが、補陽・補益どちらも備えており、気血不足の不妊にも使われることがある。温性であるが、燥ではないため、人を選ばず大変使いやすい生薬

冬虫夏草:甘・温 

土の中にいる昆虫から地上に芽を出すことからも、土になか(腎)と地上(肺)とをつなぐ生薬。肺・腎に入り、咳にも使われることがある。

海馬:甘・温

タツノオトシゴ。積聚をとる作用があり、腫瘤に使われる。そのため妊婦には禁忌。

仙茅:辛・熱 有毒

キンバイザサ。辛熱で壮烈。インポテンツ・腰のだるさなどに使われる

淫羊藿:辛甘・温 

イカリソウ。薬力と燥性:仙茅>淫羊藿>巴戟天・肉従蓉。

巴戟天:辛甘・微温 

ヤエヤマアオキ。淫羊藿に似るが、柔潤で辛散壮陽の力は劣り、温燥の性質も弱い

肉従蓉:甘鹹・温

ホンオニク。潤性の生薬。潤といっても腎陰を補うのではなく、腸を滋潤する(潤腸通便)。補陽して燥でなく、滋潤して膩でない

鎖陽:甘・温

オシャグジタケ。肉従蓉の代用になるが、潤腸の作用は肉従蓉の方が強い。

補骨脂:辛苦渋・大熱

オタンダビュの種子。収斂作用があり、止瀉の四神丸にも入っている(運脾止瀉)。

益智仁:辛・温

ハナミョウガ。運脾止瀉作用、開胃摂涎唾作用、縮尿作用があり、縮泉丸にも使われている。温散中に渋性を兼ねる。

益智仁・補骨脂は温補脾腎・固精縮尿に働くが、益智仁:温中散寒>暖腎。補骨脂:補腎壮陽>運脾。

胡桃肉:甘・温 

クルミであり、潤腸通便作用がある。 

杜仲:甘・温 

トチュウの樹皮。健康食品で販売されている杜仲茶は杜仲の葉を使っており、部位が異なるため注意。固経安胎として漢方薬に使われることがある。

続断:苦甘辛・微温 

血脈をめぐらせ、補して滞らず、めぐらせて泄さずといわれる。活絡止痛として腰痛、寿胎丸として安胎としても使われることもある。杜仲は補益にすぐれ強筋骨に働き、続断は通脈にすぐれている。

狗脊:苦甘・温 

タカワラビ。祛風湿の作用をもつ。狗脊・杜仲・続断は補肝腎・強筋骨の働きをもつが、狗脊は補益の効力に劣り、祛風湿・温補固摂の効能を兼ねている。

骨砕補:苦・温 

ハカマウラボシ。苦温で降性をもち、浮陽を収斂する。

莵絲子:辛甘・微温 

ネナシカヅラの種子。養肝明目。運脾止瀉をもち、燥でも膩でもないため陽虛・陰虚にもつかうことができる。莵絲子・補骨脂は補腎助陽に働くが、助陽:補骨脂>莵絲子。

沙苑子:甘・温

沙苑子と莵絲子は似ているが、助陽と固渋の性能は沙苑子が勝り、莵絲子は捕脾止瀉にも働く。

蛇床子:辛苦・温 

オカゼリの果実。辛散で祛風し、苦燥で除湿する。燥湿殺虫。

胡芦巴:苦・大温 

温で不燥であり、守りて走かず、止痛にも働く。

韮子:辛甘・温 

温腎壮陽・固精でインポテンツ・頻尿にも使われることのある生薬。

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