補骨脂はオランダビュの成熟した果実です。主に補腎薬としてつかわれることが多い生薬です。
補骨脂は四神丸、青蛾丸、補腎安胎飲、黒錫丹などに入っています。
現代中医学
気味：辛・苦・渋 大温
帰経：腎・脾
効能：補腎壮陽、補脾健胃、止瀉の効能があります。
古典
気味：辛 大温＜葉天士解本草＞
帰経：胃・肺・腎＜葉天士解本草＞
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『葉天士解本草』から補骨脂・オランダビュの働きについて考えたいと思います。
葉天士
気大温。味辛。無毒。主五労七傷。風虚冷。骨髄傷敗。腎冷精流。及婦人血気堕胎。
『葉天士解本草』
補骨脂気大温。稟天陽明之火気。入足陽明胃経。味辛無毒。得地西方之金味。入手太陰肺経。色黒而形如腎。入足少陰腎経。気味倶升。陽也。
其主五労七傷者。五蔵之労。食憂飲房室飢労経絡営衛七者之傷。莫不傷損先天後天真気而成也。補骨脂入腎。補真陽以生土。先天與後天相接。腐水穀而化精微。則労者可温。而傷者可益。
風虚冷者。邪風乗虚而入。以致患冷也。其主之者。辛温可以散風祛冷也。
腎主骨。骨髄傷敗。腎虚寒也。腎既虚寒。則気不足攝(兼ねる)精。精自流矣。補骨脂温益陽気。辛能潤髄。所以主之。
婦人血気。婦人血冷気寒也。補骨脂温肺。肺主気。而為津液之化源。所以治血冷気寒也。
胎者大気挙之也。補骨脂辛温。温能活血。辛能散気。気血活散。所以堕胎也。
気大温。味辛。無毒。
“補骨脂気大温。稟天陽明之火気。入足陽明胃経。味辛無毒。得地西方之金味。入手太陰肺経。色黒而形如腎。入足少陰腎経。気味倶升。陽也。”
補骨脂は大温であり、陽明の火気をうけ、陽明胃経に入ります。辛味で無毒、西方の金味で太陰肺経に入ります。色黒く、腎の形をしているため少陰腎経にも入ります。気味ともに升。
主五労七傷。
“其主五労七傷者。五蔵之労。食憂飲房室飢労経絡営衛七者之傷。莫不傷損先天後天真気而成也。補骨脂入腎。補真陽以生土。先天與後天相接。腐水穀而化精微。則労者可温。而傷者可益。”
補骨脂は『神農本草経』に五労七傷を主るとあります。五労は五臓の労(肝労・心労・脾労・肺労・腎労)。七傷は、喜・怒・悲・憂・思・恐・驚の感情からくる損傷と書いてあることもありますが、ここでは異なります。七傷は食傷・憂傷・飲傷・房室傷・飢傷・労傷・経絡営衛気傷のことを七者之傷といいます。先天之精、後天之精によって真気がしっかりしていれば五労七傷によって真気が傷つけられることはありません。補骨脂は腎に入り、真陽を補うことで脾土の働きを活発にします。先天之精と後天之精が互いに補い合うことで、水穀の精微を消化することができます。労しているときは温めるのがよく、損傷があるときは益するべきです。
風虚冷。
“風虚冷者。邪風乗虚而入。以致患冷也。其主之者。辛温可以散風祛冷也。”
風邪が虚に乗じて侵入してきたとき、患部は冷たくなります。補骨脂は辛・大熱であり、風を散じ、冷を祛ります。
骨髄傷敗。腎冷精流。
“腎主骨。骨髄傷敗。腎虚寒也。腎既虚寒。則気不足攝(兼ねる)精。精自流矣。補骨脂温益陽気。辛能潤髄。所以主之。”
腎は骨を主り、骨髄が損傷されると腎虚となり、虚寒から冷えます。腎虚から気・精気が不足し、腎は固める作用もあり、それができず、精が自ずと流れでてしまいます。補骨脂は温性であり、陽気を益し、辛味にてよく骨髄を滋潤します。ゆえに骨髄傷敗に補骨脂が
及婦人血気堕胎。
“婦人血気。婦人血冷気寒也。補骨脂温肺。肺主気。而為津液之化源。所以治血冷気寒也。
胎者大気挙之也。補骨脂辛温。温能活血。辛能散気。気血活散。所以堕胎也。”
