苓桂朮甘湯
水と気の巡りをよくする漢方薬です。耳鳴りやめまいは水の偏在で生じるため、そういった症状のときによく使用される漢方薬です。起立性低血圧にも応用されています。
ほかにも苓桂朮甘湯には精神安定作用があるため、自律神経を整え、パニック障害にも使用されます。
目次
- 効能又は効果は？
- 苓桂朮甘湯には何が入っているの？
- 効果のまとめ
- 苓姜朮甘湯との違いは？
- 五苓散との違いは？
- 半夏白朮天麻湯との違いは？
- 真武湯との違いは？
- 処方箋の薬とドラッグストアの薬はどう違うの？
- 医療用漢方メーカーでの違いは？
- ドラッグストアで購入できるものとの違いは？
- 市販で一番、生薬量が多い商品は？
効能又は効果は？
ツムラの添付文書には「めまい、ふらつきがあり、または動悸があり尿量が減少するものの次の諸症;神経質、ノイローゼ、めまい、動悸、息切れ、頭痛」と記載されています。
何が入っているの？
配合生薬の文字を１つずつとって、名付けられています。
苓：茯苓、桂：桂皮、朮：蒼朮、甘：甘草。
苓“姜”朮甘湯という似た漢方薬もあるので注意してください。
苓桂朮甘湯＝茯苓＋桂皮＋白朮＋甘草
茯苓：利水作用、気を降ろす作用
サルノコシカケ科マツホドの菌核のこと。利水作用があり、身体の水のバランスを調整してくれます。胃内停水を改善し、胃腸機能を調える作用、気を下に降ろす作用があり、精神安定作用もあります。中医学では気が上がってくることで気に頭が覆われ、めまいや耳鳴りをおこしますとされています。桂枝と茯苓が組むことで上衝した気を降ろし、めまい、頭痛、動悸、のぼせを改善します。
桂皮：気を降ろす作用
いわゆるシナモンの仲間です。気の巡りをよくする作用があるため、苓桂朮甘湯に使用されています。
この桂皮には発汗作用もあり、風邪ひいたときに飲む葛根湯にも配合されています。
白朮：利水作用
白朮は利水作用のある生薬で水の代謝異常を改善します。めまい、耳鳴りの原因となっている余分の水の巡りをよくします。
効果のまとめ
茯苓、桂皮によって上衝した気を降ろし、余分な水を取り除くので、めまい、ふらつきに効果を発揮します。気が上衝することで神経質になることもあるので、自律神経を抑えるためにも使用されます。
似た漢方薬との違いは？
・苓姜朮甘湯と苓桂朮甘湯の違いは？
生“姜”か“桂”皮が入っていのかしか違いはありません。生姜も桂皮もどちらも温める漢方薬で似ているのですが、苓桂朮甘湯はめまい、ふらつきなどの上半身の症状に使用されるのに対し、苓姜朮甘湯は足腰の冷えの下半身の症状に使用されます。
・五苓散と苓桂朮甘湯の違いは？
どちらもめまいにしようされる漢方薬です。苓桂朮甘湯よりもさらに水の巡りをよくする作用が強くなったものが五苓散です。めまいの中でもよりむくみ、水が溜まって生じているのであれば五苓散が適しています。
・半夏白朮天麻湯と苓桂朮甘湯の違いは？
どちらもめまいに使用される漢方薬です。半夏白朮天麻湯には人参、黄耆という気を強力に補い、巡らす生薬が配合されています。そのため、めまいでも胃腸が弱く、虚弱な方に適しています。
・真武湯と苓桂朮甘湯の違いは？
真武湯もお腹の冷えだけでなく、めまいにも使用されます。真武湯には附子という身体の内側から温めてくれる生薬がはいっており、冷えが強い方には真武湯が適しています。めまいの症状でも、雲の上を歩いている、足が地についていないような症状があるときも真武湯が適しています。
処方箋でもらう薬とドラッグストアで売っている薬はどう違うの？
処方箋でもらうときツムラが多いので、ツムラにはどれくらい生薬が入っているか調べてみました。
ツムラ３９ 7.5g（3包）中には、、、
日局ブクリョウ 6.0g
日局ケイヒ 4.0g
日局ソウジュツ 3.0g
日局カンゾウ 2.0g
医療用漢方メーカーでの違いは？
医療用の漢方薬メーカー３社（ツムラ、クラシエ、コタロー）での使用されている生薬量の違いについて調べてみました。ツムラだけはビャクジュツもソウジュツも変わりないとの判断なのか、蒼朮が使用されています。生薬量自体はどこのメーカーも同じで違いはありませんでした。
ドラッグストアで購入できるものとの違いは？
市販で手に入るもの、ドラッグストアで売られているものにはどれくらい生薬が入っているか調べてみました。
ツムラ漢方
クラシエの漢方
苓桂朮甘湯エキス錠 「コタロー」
と市販で売られている分では一番生薬の量が多くなっています。
医療用の処方の3/4の量が配合されて、こちらは錠剤タイプとなっているので、粉が苦手な方にもおすすめです！
めまい、ふらつきがあるときに使用されることの多い、苓桂朮甘湯。ぜひ参考にしてください。
